緊急事態宣言が解除された後の快晴の週末。久しぶりの外出とあって胸躍らせて駅に向かっていると、しばらくしてからうっかりマスクをし忘れていることに気づき、引き返すことになってしまいました(‘Д’)。
厚労省が公表した新型コロナウイルスを想定した『新しい生活様式』の実践例には、新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言を踏まえ、「外出時、屋内にいるときや会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用」することが示されています。
もはや、義務化……。
でも、みずからの身を守るためには、どこに出かけるにも今やなくてはならないものとなりました。たとえ緊急事態宣言が解除されたとはいえ、私たちにとって、マスクは日常生活に必須のアイテムとなったというわけでしょう。
そのことを物語るように、実際、‟新型コロナウイルス以前”には、こんなにも色鮮やかでさまざまなデザインの施されたおしゃれなマスクが市場に出回っていることなど、誰も想像しなかったものです。今後は、夏に向けて機能面の充実も図られるでしょう。
でも、口元が隠されてしまうと、外で味わう解放感もなんとなく半減してしまうものですね。マスク越しだと外の清々しい空気を遮断された気分になって、思い切り吸い込んだり吐いたりできる感覚にならないからでしょう。なんとなく隔靴掻痒感……(笑)。果たして、このマスク生活、いつまで続くのでしょうか。
マスクで思い出しましたが、そう言えばここ最近、「なぜかほうれい線が深くなった」という相談を受けることが多くなりました。
新しい生活様式によるマスク着用の勧めは、むしろほうれい線で悩んでいる人にとっては「これ幸い!」と感じるかもしれません(笑)。
緊急事態宣言が明けたばかりで、この2ヵ月あまりの巣ごもり生活の影響が心身にどのような形で表われてくるかについては、まだ予測できません。が、ほうれい線が気になるという人はさらに増えてくるのではないかと思っています。
なぜなら、私は新型コロナウイルスがもたらす精神的緊張から呼吸が浅くなって腹圧が低下し、姿勢が悪くなることの影響が徐々に表われてくるのではないか、と考えるから。
顔や頭の筋膜は、首を通じて身体の逆末端の足元まで通じています。ところが、マスクの下にほうれい線がまるごと隠れてしまう「無防備な表情の習慣」が続けば、ほうれい線を通してカラダの危険信号をキャッチできなくなる……、と心配になるからです。
じつは、ほうれい線の深さというのは、ただ単にそれだけにとらわれるのではなく、今後、カラダのどこかに起こり得る未来のリスクを示唆してくれる一つの信号でもあると言えます。言い換えれば、筋膜という視点から考えると、ただ単に表情筋のみにアプローチしても、一時的な効果はあっても決して長続きしないということ。顔のたるみしかり、です。
顔だけが美しく整っているという人は残念ながらいません(もちろん、お化粧の力はありますが…)。カラダ美人は、頭のてっぺんからつま先まで全身が整ってこそなのです。
その一方で、ほうれい線に代表されるように、顔は日々の生活習慣が最も表われやすいところでもあります。だからこそ、晴れてマスクの着用から解放された時のためにも、まずはみずからのカラダ全体に意識を向け、日々のケアにしっかり努めるべきだと思います。すると、「敵は本能寺にあり!」という発見もあります。例えば足底やふくらはぎのケアによって、目元が冴えてパッチリ!ということも往々にしてあるものなのです。
カラダの中で肌が露出されているところと言えば、冬であれば、顔と手元くらいでしょう。その顔でさえ、今やマスクが衣料品の一部と化し、鼻と口元が覆い隠されてしまうという現実。その結果、露出しているのは目元の部分だけという生活を余儀なくされる日々だからこそ、むしろ全身にしっかりアプローチすることの大切さを、私自身もあらためて気づくことができたのではないかと思っています。
山本康子(やまもと・やすこ)
鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、コンディショニングセラピスト。施術キャリアは30年。日本代表チームのトレーナーとしてトップアスリートのボディコンディショニングを手掛けてきた。その間、約6年に渡り外国人トレーナーと共にヨーロッパなど各地を転戦した経験によって、日本にはないスピリットを強く感じ、施術テクニックはもちろんのこと、人として現在もなお進化すべく努力を続けている。2004年に、アー・ドライ治療院、2013年に筋膜リリース専門のスカンディックケアを開業。施術者の育成と労働環境整備にも力を注ぐ。
Scandic care (スカンディックケア)
〒162-0056 東京都新宿区若松町10‐1 YSビル2 F
Tel. 03-3208-2543
Mail:info@scandiccare.jp
営業時間:平日. 11:00 ~ 21:00、土日祝. 11:00 ~ 20:00
公式HP
アー・ドライ治療院(新宿区)
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取材/光成耕司