サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する連載。第13回は、「プロテイン」と「アミノ酸」の違いについて。
■プロテインを構成しているのがアミノ酸
プロテインとアミノ酸は混同されがちですが、プロテインはタンパク質そのもの、アミノ酸はそのタンパク質を構成している最小単位の物質です。
つまり、プロテインが消化されて分解すると、アミノ酸になって吸収されるのです。
その点で言えば、一番の違いは吸収スピードということになるかもしれません。そのため一般的にはアミノ酸は空腹時に摂取をして、プロテインなどは食後やトレーニング後に摂取をします。
プロテインを構成しているアミノ酸は全部で20種類あり、それが体の材料(体タンパク質を構成しているアミノ酸)となっていますが、アミノ酸と定義される物質は全部で500種類ほどあると言われています。プロテインを構成しないアミノ酸が存在するということです。
また、体タンパク質を構成している20種類のアミノ酸においても、個々に機能を持つケースがあります。例えばグルタミンは小腸のエネルギーになったり、アルギニンは成長ホルモンの分泌を促進する、などです。
体タンパク質を構成している20種類のアミノ酸以外においては、プロテインとはかけ離れた存在となりますが、クレアチンは最大パワーの持続回数アップであったり、カルニチンは脂肪酸の運搬であったりと、明確な機能を有しているものがあります。
このように、アミノ酸は20種類が揃って体タンパク質の材料となるという点においてはプロテインと非常に近い役割をはたしていますが、アミノ酸個々の機能においてはプロテインとは別の役割を担うことになります。
20種類のアミノ酸においても、そのうちの9種類が体内で合成されないアミノ酸(必須アミノ酸)であるため、その9種類のアミノ酸をしっかりと摂取していれば、20種類は揃ってくれるという形になります。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。