”世界を股にかける治療家”Ken Yamamoto(ケン・ヤマモト)の連載『腰痛ゼロ革命』が、スタート。この連載では、ライターの茂田浩司氏が実際にヤマモト先生の腰痛治療を体験し、そして予防法や過去の症例などを順番に紹介していくコーナーです。第1回目は、もちろん自身の治療体験をもとにリポートします。腰痛に悩んでいる人は、必読です!
「どんなにひどい腰痛でも、1回で治してしまう“ゴッドハンド”がいる」
そんな噂を聞きつけて、某所の治療院にやってきた。
その人の名はKen Yamamoto。
現在はタイの首都、バンコクを拠点に、世界各国を飛び回っている「世界を股にかける治療家」だ。
通常、日本に滞在しているのは年間50日ほどで、定期的に開催している治療家のためのセミナーをしに帰ってくるだけだった。ところが、新型コロナウイルスの世界的なまん延により、タイが海外からの入国を禁止。Ken先生はバンコクの自宅に帰れなくなり、日本で後進の指導に当たりながらタイの入国解禁を待っているという。
日本にいるなら、ぜひKen先生の「世界から腰痛をなくす活動」の様子やその方法を聞きたい。可能ならば、一度、施術を受けてみたい。1日の大半をパソコン作業に費やし、慢性的な腰痛と首の痛みに悩む筆者は、早速、Ken氏のもとを訪ねた。
「そうですか……。まず上を見てもらっていいですか?」
Ken先生にソフトな口調でうながされて、思い切り天井を見上げたら……、笑われた。
「30度くらいしか動いていませんよ(苦笑)。分かりました、では、こちらであおむけになってください」
治療ベッドにあおむけになると、Ken氏は私の両足を揃えた。
「見てください。両足の指の長さが違います」
写真では分かりにくいかもしれないが、左右の親指の長さが違う。左足の方が長いのだ。
足の大きさが左右で違う……?
市販の靴を履いて「左右で履き心地が違うな」と感じたことは一度もなく、初めて指摘されて困惑していると、Ken先生から第二の指令。
「寝た状態で、両手を上げてバンザイの姿勢になり、そのまま両手を内側に動かして、左右の手が触れたところで止めてください」
言われるがままにバンザイし、手を内側に動かすと、両手は……触れなかった。左手と右手の高さが違うために、あえなく空振りしてしまったのだ。
「茂田さん(筆者)は骨盤が傾き、体のバランスが悪くなっていて、体重がいつも右側(親指の短い方)に乗っていますね。また、上を向けないのは、胸椎が固まっているためで、それが首の動きを悪くし、腰に影響していると思います。では、固まって、動きの悪くなった箇所を、やわらかくして動きをよくしていきます」
まず、股関節の硬さをチェック。一日中、座って仕事をしていることが多く、自粛によって外出機会も減っていることからガッチガチに固まっていた。
(笑顔のKen先生。ガチガチに固まった体を見ると笑ってしまうクセがあるようだ。「治療家魂」に火が付くのだろうか……)
ヒザに手を置きながら、足をゆっくりと内旋、外旋させていくと、少しずつ、動きが良くなっていくのが分かった。
「足を揃えてみてください」
両足を揃えると、左右の親指の高さが一緒だった。
続いて首・肩へ。
数年前、週に一度のペースでウエイト・トレーニングのパーソナル指導を受けていたが、1、2か月に一度は右の首・肩を痛めて、トレーニングを休まなければならなかった。学生の頃に野球部で右肩を壊し、以来、両肩を回すと右肩だけ「ゴリゴリ」と音がして動きも悪かった。古傷だから仕方ないとあきらめていたのだが……。
Ken先生は、筆者の肩のどこの動きが悪くなっているのかを指で押しながら探して、痛みの強い箇所をゆっくりと動かしていく。
力は掛けず、やわらかく前後、左右に動かしていくと、少しずつ右肩の動きが良くなっていくことが実感できた。
「では、立ち上がって、上を見てください」
今度はスッと天井が目に入った。
「茂田さんは、胸椎が固まって、頸椎の動きを悪くしていたんですね。固まっている部分をやわらかくして、血行を良くすると、本来の動きや柔軟性を取り戻して、動きが良くなるんですよ」
施術はわずか10分ほど。不安のあった腰や首は一切、触っていない。股関節の動きを良くし、肩の動きを良くした。その結果、足の左右差は無くなり、上を向けるようになったのだ。
そういえば、ひどいギックリ腰をわずらい、Ken先生のもとに駆け込んで治してもらったという人が、こう話していた。
「Ken先生は腰に一度も触らなかった」
いったい、これはどういうことなのか?
「腰痛は、腰だけを見てても治らないんです。僕は、腰痛を追いかけていって、股関節にたどり着きましたけど、
腰痛=股関節ではありません。首の動きが悪くて、腰に痛みが出る人もいます。いろんなケースがあるんですよ」
まだまだいろんな「謎」が隠されているようだ。
「世界から腰痛を無くしたい」と考案した独自の「Ken Yamamoto テクニック」とは何か。
この連載で、Ken Yamamoto先生と、独自の治療法「Ken Yamamoto テクニック(KYT)」の謎に迫ってみたい。
(次回に続く)
取材・撮影:茂田浩司
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Ken Yamamoto
東京都出身。東海大学体育学部卒業。中学・高等学校保健体育科教員1級免許取得。23歳で治療院開業。27歳で柔道整復師国家資格取得し、整骨院を開業。30歳で目黒区医師会立看護学校卒業し、免許取得。仙骨専門治療院、整形外科、総合病院整形外科、整骨院、介護センターを経て、整骨院開業。現在は、年間300日以上、海外を中心に解剖学を基に作られたKenYamamotoテクニック(KYT)のセミナー講義並びに大学の授業などを行ない後進の育成にも余念がない。腰痛患者さんの施術を招かれる各国で行なっている。KYTは現在40カ国で使われているテクニックとなっている。