白米、玄米、雑穀米……それぞれの特徴は?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第49回は、さまざまな種類があるお米について。

■おすすめは玄米。だが弱点もあり

白米・玄米・雑穀米……健康や体重などに気を配っている人は、お米の種類にも意識を向けているかもしれません。これらには、それぞれ独自の特徴があります。

まず雑穀米ですが、白米にいろいろな雑穀が入っているものを指します。雑穀の種類にもよりますが、雑穀米には食物繊維、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどのさまざまな栄養素が含まれているので、栄養価的には優れています。あとは味の好みや入手のしやすさ、値段的な問題になってきます。

その点、玄米は比較的入手もしやすく、価格的にもリーズナブルなのでおすすめです。玄米の組成の基本は白米と同じデンプン質の部分になりますが、日々大量に摂取することを考えた場合、これらの微量栄養素や食物繊維の含有率はあなどれません。白米が良質なカーボだとするならば、玄米はそこにさまざまな栄養素が付加された、ちょっとした完全食と言えるかもしれません。

玄米は一番外側がロウ層と呼ばれる部分で覆われていて、これが玄米を水に浸しておかなくてはいけなかったり、炊くのに時間がかかったり、パサパサとした食感だったりと、不人気の原因でもあります。そのロウ層の下に糠(ヌカ)層があり、さらにその下には亜湖粉(アコフン)層があり、ようやくデンプン層に辿り着きます。白米はこのデンプン層のみの状態と言えますが、さまざまな栄養素やLPS(糖脂質)は糠層と亜湖粉層に含まれているため、せっかくの栄養の宝庫を削ぎ落としてしまっていることにもなるのです。

そんな玄米にも弱点はあります。まずは何といってもマズい(おいしいと評価する人もいます)という点でしょう。そしてもうひとつは、炊くのに時間がかかるという点です。

このふたつの弱点は、一番外側を包んでいるロウ層が原因です。さらに3つめの弱点として、強みとの裏腹でもある食物繊維やフィチン酸といった成分が挙げられます。食物線維は第六の栄養素とも呼ばれ、便秘の解消など多くの効果が期待される、とくに女性や減量中の人には欠かせない栄養素です。しかし、そもそも吸収を阻害し、排出を促す栄養素だけに、とくにミネラル類との相性があまりよくないのです。また、フィチン酸は鉄やカルシウムなどのミネラルと反応しやすく、不溶性の成分へと変化してしまうため、腸での吸収を妨げることになります。

これらの強みと弱みをどのように捉えるかによるかと思いますが、味や調理の面倒さが問題なければ、玄米が優れた食材であることは間違いありません。

ちなみに発芽玄米とは、玄米を発芽させた状態のもので、玄米内部の栄養価がさらに増えていきます。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。