ベジタリアンでも筋肥大は可能?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第53回は、主なタンパク源となる肉や魚を食べない人は筋肥大できるのか?という疑問について。

■豆腐や納豆などの植物性タンパク質を利用

ベジタリアンは健康という観点からはメリットが大きいと思われますが、少なくとも肉や魚を食べられないという点においては、筋肥大にとってやや不利な条件になってくるかと思います。

しかし、それでも筋肥大が不可能というわけではありません。

まずは、植物性のタンパク質をどれだけきちんと摂れるかがポイントになるかと思います。植物性のタンパク質の中では、何と言っても大豆が圧倒的なタンパク源となりますから、そこを利用することになるでしょう。一般的な食材としては、豆腐や納豆といったところでしょうか。えんどう豆やそら豆あたりもタンパク源としては良質です。

ただ、一般的に野菜や穀物に含まれているタンパク質は、その量もさることながらアミノ酸組成(タンパク質やペプチドを構成するアミノ酸の量)が必ずしもいいとは言えませんので、摂取量が額面通り体内でそのまま利用されていないことにもなります。不足が心配な場合は、必要に応じてソイプロテインなどを利用するといいでしょう。

また、ベジタリアンの定義にもよるかと思います。一切の乳製品もNGとするヴィーガンとなると、かなりタンパク源が限定されてしまいますが、乳製品や卵などはOKとするオボ・ベジタリアンであればタンパク源の選択肢は随分と広がっていきますので、筋肥大の要素は整いやすくなります。

ただし、筋肥大にとってより重要なポイントは何と言ってもトレーニングですから、どれだけ栄養を充実させてもトレーニングの強度が足りなかったり、速筋への刺激が不足していては本末転倒と言えます。

また、糖質もアナボリックには外せない栄養素ですので、単にタンパク源だけではなくその他の栄養素についても、充足度が足りているのか、バランスが整っているかを意識していくといいのではないでしょうか。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。