ポッコリお腹は正座でなおす!?【お腹のケア#2】




今年は新型コロナの影響によって、企業にはリモートワークが広がってきました。感染リスクの回避はもちろん、通勤時間の短縮などの利点がある一方で、体にとっての利点を紹介する声は少なく、むしろ運動不足を促進させてしまうのではないかなど、それによる危惧を叫ぶ声のほうが大勢を占めているのが現実です。

実際、私の周りには今年はとくにお腹ポッコリに悩んでいる人が急増しています。そして、その原因を探るべくヒヤリングしてみると、リモートによるデスクワークは、外出する機会を減少させると同時に、服装もラフなものになりがちなので、オフィスで働く場合と比べると、そもそもとして姿勢に対する緊張感が異なるのではないかという推論にいたりました。

これはリモート、非リモートにかかわらないのかもしれませんが、デスクワークの姿勢というのは時間の経過とともに上体が前かがみなりやすいもの。すると、それに伴って大腿四頭筋(ももの前側)が短縮し、さらにそれに引っ張られるように腹直筋(お腹)も短縮してしまう。じつは、これがお腹ポッコリをつくってしまう大きな原因になってしまっているのです。当然、ウエストのくびれも失われてしまいます。

さらに、ももの前側だけでなく、ももの側面(内・外)まで短縮してくると、お腹は間違いなくポッコリになってしまいます。それほど、ももとお腹との関わり合いは深いのです。

そういう方は仕事の手を休めたときに、ももをもみほぐしてあげたり、手をグーにしてゴリゴリしてあげましょう。気持ちよさを感じる人ほど、ももってこんなに疲れていたのかという証しです。

体の前側の筋肉というのは、後ろ側に比べると、ほとんど弱音を吐きません。だから、触ってみてはじめてこんなにも疲れていたのかと気づく。体は使い過ぎでも疲れるものですが、逆に使わなさ過ぎでも疲れてしまうものなのです。

ちなみに、ももの前側は大きな筋肉である一方、加齢による筋力の低下がほかの筋肉よりも相対的に大きいという報告もあります。そういう意味でも、私たちの健康生活のカギを握る筋肉であると言えるのではないでしょうか。

また、仕事の合間に正座してみるのもお勧めです。

正座をすると背筋も自然と伸びてくるし、膝の屈曲によってなによりもももの前側がしっかり伸びてきます。社内で椅子の上に正座するのはちょっと恥ずかしいものですが、自宅であれば誰に遠慮する必要はありません。ある意味、リモートだからこそのメリットでもあると言えます(笑)。

正座の機会が次第に失われつつ今日にあっては、たまには場所を変えて畳の上で正座仕事をしてみるのもいいかもしれませんね。

山本康子(やまもと・やすこ)

鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、コンディショニングセラピスト。施術キャリアは30年。日本代表チームのトレーナーとしてトップアスリートのボディコンディショニングを手掛けてきた。その間、約6年に渡り外国人トレーナーと共にヨーロッパなど各地を転戦した経験によって、日本にはないスピリットを強く感じ、施術テクニックはもちろんのこと、人として現在もなお進化すべく努力を続けている。2004年に、アー・ドライ治療院、2013年に筋膜リリース専門のスカンディックケアを開業。施術者の育成と労働環境整備にも力を注ぐ。

アードライ治療院&スカンディックケア
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取材/光成耕司