ビールは甘くないのに、なぜ太る?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第58回は、甘くないビールが太る理由について。

■「飲む量」と「おつまみ」が主な原因

まず「甘い=太る」という考えは必ずしも正しくはなく、極端な例で言えば高甘味度甘味料を使った飲料なども、必ずしも太るとは言えません。

砂糖やブドウ糖のような糖質を大量に摂ったり多頻度で摂ることで、インスリンがつねに分泌される状態となり、脂肪へと蓄積が進んでしまうということです。

ビールがなぜ太るのかという点ですが、ひとつはビールに含まれる糖質です。ビールは醸造酒に分類され、中に糖質が含まれています。ウイスキーや焼酎のような蒸留酒は糖質を含みません。アルコールのカロリーはエンプティカロリーと呼ばれ、脂肪に変わっていかないのです。したがって、お酒の中の太る要素はほぼ糖質にあります。

ところが、ビールにしても糖質はさほど多くはありません。ロング缶で16g程度ですから、カロリーにしても64キロカロリー程度です。問題は飲む量が多いという点です。人によっては中ジョッキ何杯もという人もいますし、ノドの渇きが収まってからもビールを続けたり、いろいろと飲んだ挙句、最後にまたビールなどというケースもあります。いかに低カロリーであっても、積み重なれば当然、太る要因となってしまいます。

そしてそれ以上に太る要因は、ビールと一緒に食べるおつまみでしょう。炭酸が刺激になって食欲が湧くということもありますし、さっぱりとしたノドごしがゆえに脂っこいものや味の濃いものなど、どんなおつまみや料理にもピッタリときてしまいます。

他のお酒が太らないとまでは言いませんが、ウイスキーやワインなどはどちらかと言えばお酒を味わうという感じですが、ビールの場合は料理をおいしく食べる手助けをするような位置づけに感じられます。じつは単に「ビール=太る」ではなく、飲む量とおつまみが原因ということになります。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。