格闘家に限らず、スポーツ選手の多くは、試合前のルーティンやゲン担ぎがあると思います。Twitterを見てくれている方にはお馴染み(?)の試合前のポーズ写真もルーティンの一つかもしれません。今回は自分の試合時のルーティンを紹介していきます。
現在の話をする前に、柔道時代のルーティンやゲン担ぎから。試合の前日には必ず神社に行ってお参りをしていました。また、試合のときは柔道着を着るから見えないのに勝負パンツもありました。勝負パンツは自分だけでなく、多くの選手が決めていたような記憶があります。他にも試合の前に聴く音楽を決めていたり、いろいろなゲン担ぎがあったと思います。
現在、計量日にTwitterにアップしている写真は、実は計量に行く前に撮影しているものです。計量が終わったらすぐに食べたり飲んだりしたいので、事前に撮っておくわけです。つまり絞りこんだ状態なので、写真の顔は笑っていても心は全然笑っていません(笑)。トレーニングをしている人は、体が仕上がると嬉しい気持ちってわかりますよね。体がいい感じだから写真を撮っておこうくらいのイメージで最初は撮りました。「計量が終わりました。応援よろしくお願いします」みたいなノリで載せたところ、予想以上に反響が大きく、いつしかいろいろなポーズで撮影するようになっていったというわけです。
計量後のエネルギー摂取はパターンが決まっています。まずは水分。水や経口補水液を2リットルくらい飲みます。2㎏くらい水抜きをしているので、その分を一気に戻して「サイコー!」となります。その後に事前に用意しておいたカステラ、羊かんなどの糖質を入れます。
計量会場を出た後には、毎回スタバにいきます。これは完全なルーティンです。スタバでカロリーの高いフラペチーノやスコーンなど甘いモノを食べて、とにかくカロリーを摂るようにしています。こうした甘くてカロリーの高いものは普段はまったく食べないのですが、計量の後だけは別です。そしてスタバの後はうどんやパスタを食べます。
水分2リットル→カステラ&羊かん→スタバで甘いモノ→うどん・パスタの摂取は、計量の後のルーティンです。とにかく意識的にエネルギー系を体に入れるようにしています。それから2時間置きにクレアチンを摂取。クレアチンは水分の吸収をよくしてくれるからです。その後も少しお腹が落ち着いたら、こまめに炭水化物を摂取します。試合の12時間前くらいからはそれをやめて、あとはお腹が空いたらゼリー飲料を入れる程度にして、試合にはなるべく空腹で臨むようにしています。ここは個人差があると思いますが、自分の場合は空腹のときのほうが動けるのでそうしています。
格闘家に転身したばかりの頃はまったくリカバリーができず、57㎏で計量して58㎏で試合みたいな感じでした。今はリカバリーができているので、当日のパワーとか体型がデビューした頃とは全然違います。水抜きをしてリカバリーしてということをやるようになってからは、以前よりも体が動くし、だいぶ変わったなと思っています。
ここまでに紹介した食べ物は、自分の体に直結してくることなので、ほとんど変えることはありません(試してみて良くなかったものは外しています)。他にも自分のなかの決まり事はあって、サンダル、もこもこの靴下、手袋、ネックウォーマーなど、試合のときに持っていくものはいつも同じです。試合前の待ち時間が長いときは、体を冷やさないように靴下、手袋、ネックウォーマーをして少し寝ます。これもいつものルーティンです。
リングに上がる前には簡単なお経を唱えています。これは母から「心が落ち着くから」と教わったもので、高校生くらいのときから始めて、今でも続けています。試合前にブツブツ言っているように見えたら、お経を唱えていると思ってください。そしてお守りを持ってリングに向かうので、試合中はセコンドにそれを持っていてもらいます。
肉体的な部分で言うと、地に足をつけることを意識します。試合のときに足がフワフワするのが嫌なので、リングに向かう前は誰かをおんぶしてスクワットをして、リングに上がったらジャンプをします。これもルーティンですね。こうして考えてみると、試合時のルーティンがいろいろあることがわかりました。
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渡辺華奈(わたなべ・かな)
1988年8月21日、東京都出身。7歳から柔道を始め、高校ではインターハイ2位、アジアジュニア優勝などの実績を残し、東海大進学後、1年時に全日本ジュニア優勝を飾る。卒業後、JR東日本へ入社し、オリンピックを目指して競技を続けた。2017年に同社を退社し、格闘家に転身。同年12月3日にデビューを勝利で飾ると29日にはRIZIN初参戦で実力者杉山しずかに勝利。MMAデビューから無敗の快進撃を続けている。所属はFIGHTER’S FLOW