前回まで、足のケアの重要性をお伝えしてきました。
ケアのポイントは3つ。①足指、②足底、③足の甲からスネにかけての部位をバランスよくほぐしていくことです。
まずは、足指から。
いわゆる”恋人繋ぎ‟のように、手の指を足の指の間に入れて組みます。足指が凝り固まっていると、組むこと自体に四苦八苦してしまうかもしれません。したがって、最初のうちは無理をせず、足指を開いて頑張って手の指を入れようとチャレンジするだけでも効果は十分と言えるでしょう。
足指を開こうするだけでも足指の運動になり、つま先の冷えは解消していきます。
次に、スムーズに組めるようになったら、向こう側に押したり(背屈)、こちら側に引いたり(底屈)します。
そうすることによって、脛から訪れて来る筋膜、あるいは足底からくる筋膜の滑りがよくなり、足底・足背、脛・ふくらはぎに対して、バランスよく柔軟性が行き届いていくでしょう。
仕上げは、内回し&外回し。ぐるぐる回して、まんべんなく刺激を与え、さらに柔軟性を高めていきましょう。反対側の足も同様に行ないます。
まず、椅子に座骨をしっかりつけて座ります。そして貧乏ゆすりをするように、左右交互、上下に細かく足踏みをします。
両足の協調性はとれていますか? どちらか一方がぎこちない動きになっていると感じませんか?
次に、片足ずつカカトを大きく上げ下げしながら床をリズムよくトントントン……と叩いてみましょう。
いかがですか? これもどちらかのほうに違和感を覚えたりしませんか?
違和感のあるほうは、足裏できちんと着地していないということであり、何らかの問題を抱えているということ。歩いているときには感じないものですが、こうしてそれぞれの足踏みに集中してみると、実は知らず知らずのうちに不安定な歩行を積み重ねているということを知ることができ、思わずゾッとしてしまいますね。
なお、カカトを上げるとき、肩も一緒に上がってしまったり、反り腰になってしまったりする人が少なくありません。肩の力を抜き、みぞおちに向かっておへそを引き上げていくような感覚で行なうのがポイントです。
違和感を覚えたほうの足に対しては、テニスボールやゴルフボールを利用してグッと踏み込んだり、足裏を押してもらったりして、緊張を緩めてあげましょう。この後、再度足踏みをしてみると、足裏がすっきりして、左右の感覚のアンバランスは解消されるはずです。
最後は、脚の前側(スネ、足の甲)のストレッチで締めくくります。
これも左右で伸びの違いを感じる人が少なくありません。スムーズに伸びないほうの足には、外反母趾、足底筋膜炎、膝痛などの症状を抱えやすくなってきます。言い換えれば、そういった症状が表われるということは、それによって左右のバランスをとろうとしているということでもあるのです。
いつまでも健康で元気よく歩き続けるためにも、不穏な兆しはできるだけ早期に取り除いておきたいものですね。
山本康子(やまもと・やすこ)
鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、コンディショニングセラピスト。施術キャリアは30年。日本代表チームのトレーナーとしてトップアスリートのボディコンディショニングを手掛けてきた。その間、約6年に渡り外国人トレーナーと共にヨーロッパなど各地を転戦した経験によって、日本にはないスピリットを強く感じ、施術テクニックはもちろんのこと、人として現在もなお進化すべく努力を続けている。2004年に、アー・ドライ治療院、2013年に筋膜リリース専門のスカンディックケアを開業。施術者の育成と労働環境整備にも力を注ぐ。
アードライ治療院&スカンディックケア
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取材/光成耕司