辛い食べ物はダイエットに効く?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第67回は、汗が出るため何となく痩せるイメージのある辛い食べ物の効果について。

■さほどダイエットの効果は期待できない

辛いモノを食べると汗をかきますから、すごく代謝が上がってダイエットの効果があるように感じますよね。

しかし実際にそれでダイエットが進むかと言えば、さほど効果は期待できないかもしれません。

唐辛子などに含まれるカプサイシンがダイエットに効果をもたらすとすれば、その刺激によってアドレナリンの分泌が促進され、それを起点としてホルモン感受性リパーゼを活性化させ、脂肪を分解していくという流れです。

ただ、カプサイシンの辛さが強いため、発汗はするもののリパーゼが活性化するほどの量は、摂取できていないのが現実です。もし通常のカプサイシンで脂肪を分解させようとしたら、大概の人は胃壁が荒れてしまうと言われるくらいです。

カプサイシンはダイエット系のサプリメントに配合されているケースも多いかと思いますが、体が熱くなったり、いかにも燃えているという体感をさせるための、ちょっとしたテクニックではないかと思います。ただし、中には辛くない唐辛子から抽出したカプシノイドという成分もあります。これは通常のカプサイシンのような辛さや刺激がないので、有効推奨量が摂取できることになります。実際、褐色脂肪細胞が活性化するなどの成果もあるようなので、そのあたりは期待できそうです。

カプサイシンに限った話ではありませんが、飲むだけで痩せるとか脂肪が減るというサプリメントは、現実にはないと考えたほうがいいでしょう。よりベースとなるところのカロリー制限や食事のバランスといった点をしっかりと修正して、何かしらのトレーニングや運動を行なう際に、よりその効果を上げていくという位置づけで取り入れるべきです。

ブロック系のダイエットサプリメントもありますが、それで吸収がされなくなると思ってどんどんと食べていては、逆に太っていくでしょうから要注意です。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。