サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第72回は、筋トレ後の食事や捕食について。
■糖質の補給は優先順位が高い
しっかりと追い込めた日は気持ちがいいですよね。
ただ、脳内の充実度とは裏腹に、肉体的にはダメージがありますから、いつも以上に手厚くリカバリーをしたいものです。ゴールデンタイムにプロテインをしっかりと飲むというのは、もはや常識に近くなっているかと思います。極端な量を飲む必要はありませんが、やはり最低限必要な量は確保すべきで、ざっと20~40gが目安になります。
ここに糖質の補給を加えていければ、なおいいでしょう。
糖質も過剰な摂取は弊害がありますが、充実した筋トレということはすなわち、筋グリコーゲン(筋肉に蓄えられる糖の一種)がかなり消費されているということでもありますから、そこの補充は優先順位が高いのです。トレーニング直前の単純炭水化物(砂糖や甘いお菓子など)は避けるべきですが、直後に関してはむしろ吸収スピードが早い単純炭水化物は悪くありません。最近流行りのMD(マルトデキストリン)あたりが理想的と言えるでしょう。
一般の食材であれば、バナナもおすすめです。細かくサプリメントで補充していくのでしたら、直後にEAA(必須アミノ酸)とエネルギージェルを摂って、その後にホエイプロテインのようなパターンになるかと思います。その後の食事については、やはり高タンパクを目指したいですね。ガッツリ焼肉と言いたいところではありますが、脂質過多にならないようにマグロのお刺身や馬刺しなどを食べられたら、より理想的だと思います。
筋トレに限った話ではありませんが、充実したトレーニングや練習ができた日は意外にも疲労感を感じにくい時があります。テンションが高くなっていて、体の疲労を脳が感じにくくしてしまうのでしょう。しかし実際は、体の疲労はいつもよりも増していますから、あまり胃腸に負担が大きくない消化のいい食材を選ぶといいですし、アルコールを飲む人はいつもよりも少な目を心がけるべきでしょう。
必ず波がありますから、調子がいい時こそ体を労わるという発想が大切です。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。