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スポーツ深読みシリーズ~BMX【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第152回】

VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか? 今週は久しぶりに「スポーツ深読みシリーズ」をお届けしましょう。今回紹介する競技はBMXです。

まずは基本的な知識から紹介していきます。BMXは「Bicycle Motocross」の略語で、その名称からもわかる通り、モータースポーツのモトクロス(オートバイ競技)が由来。ルーツをたどると、1970年代前半に遡ります。当時、アメリカの南カリフォルニアで、オートバイ・モトクロスレースに憧れをいただく子どもたちが、土や砂が細かく敷かれたダート路を自転車で走り始めた“遊び”が起源と言われています。子どもの遊びが競技として発展して、オリンピック種目にまでなっていったのです。

BMXにはレーシングとフリースタイルの2種目が存在します。これはスピードスケートとフィギュアスケートくらいまったく違う競技で、それぞれに面白さがあります。オリンピック種目としては、2008年北京大会からレーシングが、東京2020オリンピックから、新たにフリースタイルが加わる予定となっています。

レーシングは“レース”の名の通り、スピードを競う競争です。「スタートヒル」と呼ばれる8mの高さにあるスタート台から飛び出し、起伏のあるコースでジャンプをくり返しながら、350~450mのコースを駆け抜けます。最高速度は約時速60㎞と言われ、スリリングな展開が魅力です。順位は当然、着順で決まります。落車や接触、転倒などの危険があるため、フルフェイスのヘルメットやゴーグル、手袋、長袖のスーツなど、自転車競技の中でも最も多くの装備が必要となります。

レーシングの様子
(C)Dauf-stock.adobe.com

 

一方、フリースタイルは、いわゆるアーバンスポーツの一つで、技の難易度や独自性を競う種目。このフリースタイルはパーク、ストリート、フラットランド、ダートの4種目に分類され(体操競技に鉄棒、床、跳馬などがあるようなイメージ)、そのうちのパークがオリンピック種目に採用されました。競技は「スケートパーク」と呼ばれる専用施設で行なわれ、トリック(技)の難易度や完成度、オリジナリティなどから採点で順位を競います。ストリートカルチャーから発展してきた競技なので、大会での着衣はジーパンやチノパンなど自由度が高いのが特徴です。

フリースタイルのイメージ
(C)VIAR PRO studio-stock.adobe.com

 

以上がカンタンな基礎情報となります。ここからは「へぇ」と思う深読みシリーズならではのネタを紹介していきましょう。

 

同じBMXでも、レーシングとパークで使用されるBMXはまったく別モノです。ともにタイヤのサイズは20インチと決められていますが、使用されている素材は違います。スピードが重視されるレーシングのBMXは軽量化が進み、素材はカーボンが主流。逆にフリースタイルは飛びながら大技を行なうために強度が必要であり、素材はすべて鉄でできています。素材が違えば、当然重さは違ってきます。フリースタイルのBMXのほうが、レーシングのBMXよりも3㎏くらい思いのです。

皆さんが自転車に乗る時はサドルに座ると思います。しかし、BMX競技の選手はBMXのサドルには座りません。レーシング、フリースタイルともに、競技中はずっと立っているため、サドルに座ることがないのです。座らないならいらいないのでは?と思うでしょう。実際、競技には不要なものではあるものの、ルール上、サドルがついたBMXに乗ることが定められているので、飾りとしてついているようなものなのです。

また、BMXを持ち運ぶ時はバラバラにしてバッグに収納します。大半の選手は自分で分解して組み立てることができるそうです。分解、梱包にかかる時間はわずか5分程度。レーシングでBMXが駆け抜けるスピード並の速さです。

というわけで、BMX競技の紹介をしてきました。レーシング、フリースタイルともに迫力がって面白いので、ぜひ機会があったら見てみてください。

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。