サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第83回は、果物の甘さもダイエットの敵となるのか?という疑問について。
■ヘルシーというイメージで食べ過ぎるのはNG
ダイエット中には甘いものはご法度という中でも、果物ならヘルシーだし大丈夫ではないかと思いがちですよね。
果物の甘さは主に、果糖、ブドウ糖、ショ糖によるものなので、食べる量にもよりますが、太りやすい条件にはなっていきます。
とくに多く含まれるのは果糖です。果糖の最大の特徴はGI値が低く、血糖値を上げないというものですが、だからといって太らないとは言い切れません。果糖はブドウ糖とは異なり、門脈という血管を通していったん肝臓にいき、そこで代謝されます。代謝された果糖は糖新生によってブドウ糖へと変換されますので、過剰分は中性脂肪へと合成されてしまいます。
また糖化作用が強いため、終末糖化産物(AGEs)を作りやすいという側面も持ちます。血糖値を上げずゆっくり吸収・代謝されるという点において、トレーニング前の糖質補給には向いていますが、日常的に食べる際には過剰にならないよう注意が必要です。とりわけダイエット中であれば、より注意が必要かもしれません。
ビタミンやポリフェノールなど有用な栄養素も多く含まれるため、上手に活用すれば健康にも美容にも、またボディメイクにもメリットの大きな食べ物ですが、ヘルシーというイメージだけで安易に食べ過ぎるのはNGです。
摂取シーンを考えた場合、朝を含めた午前中はカロリーを消費しやすい環境でもあるので食べるのには適しています。一方、就寝前などはその後のエネルギー消費が抑えられていく上に、果糖のようにゆっくりと時間をかけてブドウ糖へと変換されるのは、就寝中の脂肪の蓄積へとつながりやすくなるので要注意と言えます。
人工甘味料を嫌う人もいますが、一時の空腹を紛らわすにはゼロコーラ的な飲料で代替するのはありだと思います。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。