バナナを食べるメリット、デメリットは?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第84回は、トレーニーの多くが好むバナナのメリット、デメリットについて。

■低価格なのに良質な糖質と魅力的

バナナはかなり良質な糖質です。ほぼ糖質で脂質はほとんど含まず、その糖組成も優れています。

単一の糖ではなく、果糖、ブドウ糖、ショ糖、デキストリンとバランスがとてもいいので、吸収スピードも絶妙と言えます。また、とくにカリウムが豊富で食物繊維も含まれています。

果物のメリットのひとつでもありますが、水がなくても食べられるという点も、バナナがアスリートからエネルギー補給食として好まれる理由のひとつでしょう。摂取タイミングに関しても、かなりのシーンで適応できます。朝食時、空腹時、食間、トレーニング前、トレーニング後など、就寝前以外の多くのシーンでの糖質補給に合致するのです。

そしてもうひとつのメリットは、なんと言っても値段でしょう。その時の物価によって価格が上下するものの、ひと房100~200円程度で買えるのは魅力的です(日本に輸入されるほとんどはフィリピン産のバナナですが、その陰では現地の人たちの苦労があることも忘れないようにしたいところです)。他にも持ち運びに便利であったり、多少日持ちもするなど、基本的にはメリットの多い糖質源であると言えます。

一方でバナナを食べるデメリットですが、バナナにアレルギーを持つ人は食べないほうがいいでしょう。果物ではキウイのアレルギーが有名かもしれませんが、意外にもバナナにアレルギーを持つ人も少なくありません。バナナを食べて口の中に異変を感じたり、体調が優れない人は避けておいたほうが無難でしょう。

一般的なデメリットとしては、食べ過ぎによる糖質過多は挙げられるかもしれません。比較的低カロリーな果物ではありますが、それでも糖質の塊ですし、果糖、ブドウ糖、ショ糖という就寝前には避けたい糖もしっかりと詰まっています。

その食べやすさから、空腹でなくても食べられるという点も少し注意が必要かもしれません。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。