プリン体って何? なぜ摂り過ぎてはいけない?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第89回は、痛風の原因になると言われるプリン体について。

■じつはプリン体の8割は体内でつくられている

プリン体ってなんだかおいしそうな名前ですよね。これは、DNAやRNAといった遺伝子でもある核酸の構成成分です。従って遺伝子を持った食べ物には、このプリン体がもれなく入っているというわけです。

通常は体内で80%以上がつくられていて、食べ物からは20%程度取り入れています。プリン体は核酸の構成成分ですから、細胞の代謝や増殖に欠かせないもので、使われなかった分や過剰となった分が尿酸へと変化して、やがて体外に排泄されます。

問題はプリン体の代謝副産物でもある尿酸が、排泄されずに溜まってしまった場合です。通常、尿酸は血液中に溶けた状態にありますが、過剰になってくると結晶化して関節などに溜まってしまいます。今度はそれが尿酸塩結晶として関節液に入ってしまうと異物とみなされ、白血球が猛烈にそこを攻撃しはじめ、そこから炎症物質が生まれていくという流れです。これが痛風が起きる一連の流れで、そのおおもとを辿るとプリン体の過剰が原因ということになるのです。

また、痛風以外に尿路結石のリスクもあるので、尿酸値を気にする人が多いのです。そこで、プリン体を多く含むとされている魚の卵などは、控えるようにという指導が入ることになるのです。魚の卵は大きさが小さく数が多いので、単純に核酸の数が多いことになり、結果としてプリン体をより多く取り入れてしまうことになってしまいます。

ただし、先述の通りプリン体の8割は体内でつくられているので、じつは外から取り入れる分の影響は比較的少ないのです。もちろん尿酸値がすでに高い人は、ある程度控えめにする必要はありますが、最近ではカロリー制限による肥満防止のほうが痛風対策としては効果があるとされていて、魚卵を目の敵にする必要はあまりありません。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。