サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第94回は、料理を食べる順番が及ぼす影響について。
■マナー以外にもいくつものメリットがある
三角食べとは、ごはんを食べたらおかずを食べて、次に汁ものを口にしてといった具合に少しずつ食べ進めていく食べ方ですね。
これは基本的には好ましい食べ方です。懐石料理のような特殊なケースを除いた通常の食事の場合、三角食べはマナー的にも正しいというか美しい食べ方になりますが、マナー以外の観点からもいくつかのメリットがあります。
まず単独のものだけを食べる場合と比較して、咀嚼の回数が増えることがわかっています。いろいろなものが混ざりますから、たくさん噛む必要があるのでしょう。咀嚼の回数が多いと食事によるエネルギー消費量が増えることがわかっていて、さらには満腹中枢を刺激するため食欲が適正にコントロールされることで肥満防止になります。
逆に一気のドカ食いや早食いは、ダイレクトに肥満リスクを高めることもわかっています。そして味的にも混ざることで濃さのバランスが整っていきますから、ごはんに追加でふりかけ的なものを加える必要が減ってきます。これは減塩の観点からのメリットとなります。
また子どもなどの場合には、お腹がいっぱいになって食事が最後まで食べきれないというケースも考えられますが、その場合には三角食べによってボリュームは足りなくてもバランスはなんとか整えられることになります。厳密には三角食べの対象から外れるかもしれませんが、サラダがある場合には俗に言うベジファーストで、最初に少しサラダを食べてやることで食べ物の吸収スピードが調整され、肥満防止にもつながります。
太りやすいという観点においては、とくに空腹の状態でお米などをいきなり食べきってしまう場合は、食べるスピードも速くなり血糖値も上昇するため、いわゆる太りやすい食べ方となります。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。