プロテインビギナーのための飲み方&選び方【管理栄養士・牧春菜のプロテイン相談室vol.1】




多種多様な商品が展開されている「プロテイン」。しかしその多様さゆえ、初心者はどれを選んだらいいのかわかりにくいのが現状だ。そんな悩みを解決するため、管理栄養士の牧春菜さんにお話を伺った。牧さんはアスリートフードマイスター・腸内フローラ検査アドバイザーとしても活躍する栄養のスペシャリスト。今回はプロテインの基礎知識に加え、製品の選び方についても教えてもらった。

――「筋トレ後にはプロテイン!」とよく言われますが。そもそも、その理由を教えてください。

牧 筋トレによって筋肉細胞が傷つけられた身体は、エネルギーや栄養素を消費した飢餓状態になっていて、糖質、水、タンパク質などを特に必要としています。

これらを早めに補給することで筋肉細胞の修復が早まると言われているのですが、プロテインなら必要な栄養素を一度に摂ることができます。

さらに最近は、ビタミンやミネラルといった栄養素も一緒に配合されている製品も多く、プロテインは効率良く栄養を摂取することができるものとなっています。

――さまざまな種類のプロテインが販売されていますが、使い分けはどうしたらいいですか?

牧 プロテインの種類は大きく分けて、ホエイ、カゼイン、ソイの三種類です。

ホエイはBCAAを多く含み、筋力や健康状態の維持が期待でき、吸収速度も速いので、トレーニングの合間やトレーニング直後などに摂取すると良いでしょう。

逆にカゼインは吸収が緩やかで、腹持ちがいいんですよ。そのため朝食時に使ったり、就寝の一時間前に摂ったりすると、時間をかけてゆっくり体にタンパク質を補給してくれるので、筋肉量を落とさずに減量する手助けとなってくれます。

最後にソイは、女性ホルモンと似た働きをするイソフラボンが入っているので、肌や骨の強化などに期待できます。吸収速度がゆっくりなため、満足感が持続しやすくダイエットしている方や健康維持をしたい方におすすめしたいですね。

――最近では、水や牛乳に溶いて飲む粉末タイプ以外にもさまざまな種類があり迷ってしまいます。

牧 確かにプロテインは、粉末タイプやバータイプ、ドリンクタイプなど種類が豊富です。

今では、粉末タイプでも食事に“隠し栄養”のような形で入れるものまでありますよね。選び方としては、どういった志向・目的でプロテインを摂取したいかというのが重要です。

「お菓子をやめたくないから、代わりにプロテインバー」というような選択肢もありだと思いますよ。

ただ、バータイプには糖分や脂肪分が多く含まれているものもありますし、プロテインもたくさん摂ればいいというものでもないので、食べすぎには注意してください。

――初心者におすすめのプロテインはありますか?

牧 そうですね……。皆さん悩まれると思いますが、手軽さとして、“バータイプ”と“ドリンクタイプ”をおすすめしたいと思います。

コスト的にも手軽なので、購入のハードルが低いのが嬉しいですね。コンビニで、飲むヨーグルトの代わりにプロテインドリンクを買うとか、そういうところから試してみるのが良いのかなと思います。

――プロテインを摂取するうえで、注意点はありますか?

牧 先ほど少し触れましたが、一回の摂取量に気を付けてほしいです。摂取するのは、商品に記載されている一回分の量にとどめてください。

タンパク質が一回に身体へ吸収される量は決まっていて、どんなに摂っても最大で40gしか吸収されません。

逆にそれ以上摂ると、体脂肪や中性脂肪が増加したり、体内でガスが発生して胃腸への負担が増えたりしてしまいます。

――必要な栄養素とはいえ、たくさん摂ればいいというわけではないということですね。

牧 そうです。タンパク質の摂りすぎで肝機能を壊してしまう人が、実はすごく多いのです。

そのため、商品に記載されている1回につき1食分という摂取量は守ってほしいですね。

その上で、初心者の方はまずは1日1回からを目安に始めて、身体への影響の様子を見ながら、慣れてきたら徐々に摂取回数を増やしていくと負担が少ないです。

 


ひとまとめに「プロテインが欲しい」となると迷ってしまう。しかし種類や形状、用途から絞れば、自分に合ったものを見つけることができるはずだ。トレーニングをしている人はもちろん。していない人でも、栄養の補助としてプロテインは心強い味方になる。幸いなことに、現在はコンビニにもバータイプやドリングタイプのプロテインが売られている。初心者の人はまず、手軽な商品から試していくのが良さそうだ。


 

◆次回は、「女性に嬉しいプロテインのメリット」について詳しく聞いていきます。

取材・文/森本雄大


牧春菜(まき はるな)
管理栄養士、アスリートフードマイスター、腸内フローラ検査アドバイザープロ。管理栄養士チーム「eat Link」の代表として、ジュニアからシニアまで幅広い層の栄養サポートをしている。腸内環境が身体作りを左右していることを実感し、一人一人の体質に合わせた食事提案を行っている。