腸内環境の大切さを知って身体を基盤から変えていこう【管理栄養士・牧春菜のプロテイン相談室vol.4】




管理栄養士の牧春菜さんにプロテインに関する話をいろいろと伺ってきたが、牧さんはアスリートフードマイスター・腸内フローラ検査アドバイザーとしても活躍する栄養のスペシャリスト。普段、学生やアスリートなどの栄養サポートをし、その中で「腸内環境」に悩む人を多く見てきた牧さんに、その重要性についてお聞きした。

――腸内フローラ検査アドバイザーとしても活躍されていますが、資格を取得されたのは、どのようなきっかけでしたか?

牧 以前は整形外科に勤めいたのですが、そこに、ダイエットの相談に来られる患者さんがすごく多かったんです。ダイエットの指導をすると、最初は確かに痩せるのですが、でもそこから再び太ってしまう方もいたんですよ。

これはおかしいなと思って理由を聞くと、子どもの頃から便秘だったり、便が全然出ないのが普通だったりする。そういう「痩せたくても痩せられない」と苦しんでいる患者さんを見て、栄養バランスだけの話をしていてもダメだと確信しました。

そこで、腸内環境が関係しているのでは?と思って、腸内細菌検査アドバイザーの資格を取ることを決意したんです。これを極めて彼らの身体を変えられるようになったら、苦しむ人の助けになれるのではないかと。

――栄養だけを摂ってもダメなんですね。

牧 そうなんですよ。というのも、腸内環境は栄養吸収の土台となるものです。そこを改善しないと、例えば良いサプリメントを摂っていたとしても、うまく吸収されていきません。まずは土台を整えて、栄養吸収を良くする。それによって筋肉がつきやすくなったり、睡眠の質が上がったりというところにもつながっていきます。

コロナ禍で腸内環境が注目されているのも、改善することで免疫力の向上につながるためです。腸内環境を改善して基盤を整えるということが、私たちが健康に生きていくベースにあるのかなと思います。

――腸内環境が悪いと、やはりスポーツや筋トレにも悪影響が出るのでしょうか?

牧 そうですね。筋肉がつきにくいという影響はあると思います。また、スポーツのシーンで集中力が持続しにくかったり、試合の後半でスピードが落ちたりする選手を目にすることもあります。疲労回復の遅さも感じるときがありますね。

――それはアスリートにとっても問題ですね。実際、そのあたりの知識や情報というのは、アスリートに広がっているのでしょうか?

牧 いえ、それがなかなか。腸内環境が筋力アップや集中力に関係することを知らないアスリートもけっこう多いですね。便秘の悩みや、体脂肪率の高さから相談に来られた方を調べてみると、やはり腸内環境が良くないですね。

そこで腸内環境を改善する指導をすると、競技にすごく良い影響が出る。薬のように即効性のあるものではないので時間はかかりますが、メンタル面や競技成績に良い効果を与えることができるので、腸内環境は大事だよと何度でも伝えたいですね。

――そうだったのですね。

牧 腸内環境を薬で改善しようという人は本当に多いのですが、こればかりは、身体の基礎を変えないといけません。ただし、試みる際には正しい方法で行ってほしいです。

例えば発酵食品の摂取なんかも方法の一つとして有名ですが、これも単体で摂るのではなくて、菌の餌となる食物繊維やオリゴ糖と合わせて摂ってほしいです。あと、過剰な糖質制限は身体に悪影響なので避けてください。正しい知識をもとに、身体の基盤から変えていくという意識で向き合ってもらえたら嬉しいです。

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腸内環境の大切さを語ってくれた牧さん。その重要性が認知されておらず、実は身体の悩みに腸内環境が関連していることも多いという。コロナ禍で、腸内環境が注目され始めた今日この頃。今後、腸内環境改善の機運が高まっていくかもしれない。

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取材・文/森本雄大

★「牧春菜のプロテイン相談室」は今回が最終回となります。お読みいただき、誠にありがとうございました。


牧春菜(まき はるな)
管理栄養士、アスリートフードマイスター、腸内フローラ検査アドバイザープロ。管理栄養士チーム「eat Link」の代表として、ジュニアからシニアまで幅広い層の栄養サポートをしている。腸内環境が身体作りを左右していることを実感し、一人一人の体質に合わせた食事提案を行っている。