サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第105回は、減量よりも難しいと言われる増量やバルクアップについて。
■少量多頻度の食事で摂取カロリーを増やす
ダイエットや減量は雑誌でも定期的に特集が組まれるようにつねに関心が高く、痩せることがとても難しいように感じるかもしれませんが、意志さえあれば成し遂げられると思っています。
一方でバルクアップはとてもハードルが高く、バルクアップとまではいかずとも体重を増やす行為でも一筋縄ではいきません。さまざまな競技で若手のウエイトアップを担当してきましたが、やはり胃腸の能力がひとつのボトルネックとなり、単なる意志だけでは必ずしも増量は進んでくれません。
その際に取り入れていたのが、少量多頻度の食事です。一度に食べる量は決して無理をせず、胃腸のキャパの範囲内に収めるようにして、その代わりに食事の頻度を上げて一日トータルでの摂取カロリーを増やすようにしていきます。
3度の食事はそこそこがんばって摂るようにして、合間に補食としての食事を入れるのもいいでしょう。補食の場合は必ずしも完璧な食事である必要はなく、例えばバナナとプロテインとか、オニギリに野菜ジュースとサラダチキンといった組み合わせで十分です。プロテインを活用すると、補食の栄養価がグッと上がりますから、プロテインの意義はこういったところにもあると言えます。
もし年齢が若くまだ10代などであれば、多少無理をして食べることもアリだと思います。やはり胃腸も適応していくからです。以前、10代のプロ野球選手が6000㎉近く食べても太れないという状況があり、本人曰く寝ている時も体が熱くて燃えているようとのことでした。いわゆる代謝が高い状態なのでしょう。カーボの比率はそれ以上上げることが難しいので、MCTオイル(中鎖脂肪酸)を使ってカロリーを増やしたり、間食にMRP(ミールリプレイスメント)を活用していました。
ただ、これまでの経験上、こういったケースの場合は2年も経てば見違えるほど厚みのある体になっていきますから、あまり心配はいらないと思います。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。