サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第131回は、腸内環境にとって重要な栄養素である食物繊維について。
■豆類や穀物は不溶性食物繊維を多く含む
食物繊維は人の消化酵素で分解されないものという定義になっています。構造としては糖がつながった状態のものですが、いずれにしても消化されないので基本的にカロリーはありません(一部、例外的に若干のカロリーを持つ食物繊維もある)。
水溶性と不溶性に分類されて、水溶性は野菜や果物のペクチンが代表的で、腸内でゼリー状になって食べたものの吸収を緩やかにしたり、血糖値の上昇を抑えたりします。また不溶性の食物繊維は植物の細胞壁であるセルロースが代表的で、水を含んでどんどんと大きくなり、ぜん動運動によって便秘を解消してくれたりします。どちらもカロリーは持たないためエネルギー源にはならないものの、腸内の環境にとって重要な栄養素です。
さて、何から摂るのがベストかという点については、とりあえずは野菜、果物、穀物、豆類といった食材から日常的に摂るのが理想ではないでしょうか。実際の摂取量は「日本人の食事摂取基準」に示されている摂取量よりも足りない状態にありますので、日々の中で継続的にプラスαの摂取が望まれる栄養素です。野菜や果物と言えばビタミンという印象を持つ人も多いかと思いますが、じつは水溶性の食物繊維を含むという点において重要な食材でもあります。
また豆類や穀物においても、糖質やタンパク質といった栄養源という見方をしてしまいますが、こちらは不溶性の食物繊維を含むという点においても重要な食材なのです。ボディビルダーが減量に入ると白米から玄米に切り替えるケースもよく見受けられますが、これはGI値が低い玄米にして脂肪をつきにくくする、ビタミンBの摂取量を増やすなどの理由に加えて、やはり不溶性の食物繊維を日々摂取していくことで便秘対策となっているのです。
できれば水溶性と不溶性をそれぞれ意識して、どういった食材に豊富なのかをチェックして日々の食生活に活かすなどの工夫があると理想的です。ちなみに納豆はどちらも含むという点においても、かなりの健康食材であります。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。