サバ缶は汁まで食すべき?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第134回は、栄養を多く含むサバ缶の汁は食すべきか、捨てるべきかという疑問について。

■汁にはDHAやEPAなどが溶け込んでいる

ここ数年でサバ缶は一気に人気がきましたね。

それまではツナ缶が人気だった印象ですが、もともと個人的にはサバ缶が好みだったのでついにきたかという感じで受け止めていました。ノンオイルがないので、脂質カットを軸とした減量の際などは使いにくいかもしれませんが、日常的にはヘルシー食材として取り入れやすいのではないでしょうか。

脂質も含まれますがDHAやEPAを非常に多く含み、一缶で一日の推奨量の4~5倍ほども含まれています。当然、高タンパク、低糖質であることはいうまでもありませんが、ビタミンB群も含まれていて、骨もそのまま食べられることからカルシウムも豊富です。こうなると缶詰の完全食か?と思いたくもなりますが、プリン体も多いのでその点は要注意かもしれません。

またトータルとしての脂質も少なくはないので、カロリー全体としてはそこそこのボリュームになります。これは悪いという意味ではなく、健康によさそうだという印象だけで食べ過ぎるようなことがあると、カロリー過多の心配があるという意味です。

さて、サバ缶の汁を飲むべきか否かという点についてですが、先のDHAやEPA、ビタミン類などさまざまな栄養素が溶け込んでいることを考えると、汁を捨てるのはもったいない気がしますね。この点においては、カップヌードルの汁を捨てるのとは少し意味合いが違ってくるかと思います。ベースとして高タンパク、低糖質ですから、汁も含めてごはんと一緒に食べたりすれば、糖質も入ってくることで三大栄養素がバッチリ揃ってくれたりもします。

ただし、プリン体を含む点や塩分もそれなりに多いので、そのあたりの摂取量は少し気になるところです。サバ缶を毎日食している人の場合は、多少セーブするほうがいいかもしれません。たまに食べるというレベルであれば、栄養素がしっかりと溶け込んだ汁は捨てずに上手に食べるほうがいいのではないでしょうか。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。