ベーグルはダイエットに効果的?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第136回は、ベーグルはダイエットに効果があるという噂の真相について。

■脂質は含まないが、カロリーは低くない

ボディビルダーが減量に入ると急に食べ始める印象のベーグルですから、確かにベーグル=ダイエットという印象を持つかもしれませんね。私も初めて減量をした時に、ジムの先輩ビルダーからいろいろと食の指南を受けましたが、減量をスタートしたら食べてはいけないものと食べてもいいものリストがあって、食べてもいいものリストにベーグルが入っていたことを思い出します。

しかしベーグルを食べれば痩せるとか、ベーグルで脂肪が燃焼するということは期待しないほうがいいでしょう。あくまでも原料や製法が違うパンだからです。ではなぜ、ボディビルダーは減量期にベーグルを食するのでしょうか? 答えはいたってシンプルで、脂質を含まないからです。ベーグルと一般のパンの違いは、二次発酵をさせないなどの違いもありますが、何と言ってもおおもとの原料にバター、牛乳、卵などを使っていない点にあります。つまり脂質がないのです。

脂質カットをベースとした減量やダイエットを行なう場合には、脂質を含まない食材が貴重になります。そうなると大半のパンはNG食材となってしまうため、ベーグルは貴重な脂質がないパンなわけです。モチモチとした食感や、ぎゅうっと詰まった感じは個々人の好き嫌いになるかと思いますが、食べ始めの頃はこれまでのパンと比較すると、油を使っていない分だけ味に物足りなさを感じたり、パサパサ感が気になったりする人もいるかもしれません。しかし不思議なもので、食べていくうちに逆にあのベーグルの食感がやみつきになる人もいて、たとえば減量期の食間には、ベーグルとコーヒーといった組み合わせも人気です。

脂質がほとんどないので安心感があるかもしれませんが、中身が詰まっている分だけカロリーは決して低くはありません。いわゆるカロリー低めで安心という食材ではないのです。ベーグルだから大丈夫という発想で、いつでも食べてしまうのは要注意です。

また、ベーグルに挟んで食べる具も大切です。減量期にはサーモンなどが人気ですが、ここであまり脂質の多い具を選んでしまうとベーグルにしている意味がなくなってしまいますから、重ねて注意が必要です。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。