マクラは高いほうがいい? 低いほうがいい?【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第182回】




VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか? 世間は連休中らしいですね。

 

さて、先週末は3泊4日で出張に行っておりました。現在は緊急事態宣言中であり、リモート取材も増えているものの、今回は撮影を伴う取材ということで現地に行ってきました。やはり旅行や出張でのホテル利用者が少ないのか、コロナ以前には信じられないくらい、ホテルが激安です。

 

今回宿泊したホテルは、まだ新しく、エレベーターもカードタッチ式のセキュリティがあるようなホテルだったにもかかわらず、ツインルームが一泊3000円。3泊しても1万円でお釣りがくるのです。一人なのになぜツインルームかというと、シングルルームよりも値段が安かったからです。私のように一人出張でシングルを希望する人はいても、旅行でツインルームを利用する人が少ないから、こちらのほうが安い価格になっていたのでしょう。

 

ツインルームなのでベッドが2つあるのは当然として、各ベッドにはマクラが2つ用意されていました。硬くて高めのマクラと、やわらかくて低いマクラの2種類です。「マクラが変わると眠れない」という人もいるように、こうして2種類用意してくれるのはとてもありがたいことです。

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ちなみに私は硬くて高いマクラ派。私の妻は低いマクラ……というかマクラなしでも眠れる派です。実はこれは単純な好みの問題ではなく、人それぞれ体の構造によって、適したマクラがあるのです。「マクラが変わると眠れない」というのは、旅行などで自分の体に合わないマクラになってしまった場合に起こる現象と考えられます。

 

寝ている姿勢を立っている姿勢に置き換えて考えてみてください。寝るときの頭の位置というのは、「気をつけ」の姿勢を取ったときに、体の真横から見た頭の位置と同じになるのが理想です。マクラの高さによって、気をつけのときに頭の位置がつま先側にあるか、カカト側にあるかが変わってきます。

 

やや猫背でつま先重心が基本姿勢の人は、高いマクラを好みます。マクラが高くて硬いと、自分がラクに立てる姿勢と近い体勢で寝られるからです。逆に低いマクラを好む人は、やや反り腰でカカト重心がラクな立ち姿勢の人。頭の位置がカカト側に合ったほうがいいタイプなので、低いマクラ、もしくはマクラがなくても問題なく眠れるというわけです。

 

「マクラは高いほうが絶対にいいですよ」あるいは「低いマクラのほうが体にはいいですよ」と好みを推してくる人がいても、その言葉を信用するのは危険です。それはその人の姿勢にとっては良いものであって、言われた人のラクな姿勢とイコールとは限らないからです。快適な睡眠のためには自分の体の特徴を理解して、マクラを選ぶことが大事です。

 

ホテル泊のときは自分でマクラを選べません。そのため「マクラが変わると眠れない」ということになるのですが、自分の好みさえわかっていれば対策は可能です。「高いマクラがいいのにホテルのマクラはペチャンコだった」という場合は、マクラの下にバスタオルを折って敷くなどして高さを出せばOK。逆に「低いマクラがいいのにホテルのマクラが高くて硬い」のなら、バスタオルを折ってマクラにする、あるいはマクラをしないで寝たほうが快適な睡眠ができると思います。

 

睡眠はとても大事です。たかがマクラと考えず、自分の体に合ったものを選択してみると、快適な眠りにつくことができるはずです。緊急事態宣言が解除になって、旅行に行くときなどは、ぜひ参考にしてみてください。

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。