サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第158回は、書籍などでも話題となった1日1食の食生活について。
■太りやすい体質に向かうことになる
いろいろな考え方や価値観がありますから、一概にNOとは言えないでしょうけれど、もしも私が相談を受けたならばおすすめはしません。どういった目的で1日1食にするのかによるところが大きいかと思いますが、少なくともダイエットやボディメイク目的であるならばうまくいかない要素のほうが大きいと思います。
まず何よりも筋肉がどんどんと減るはずです。そして少ない摂取カロリーに適応するために代謝が落ちていきます。いわゆる太りやすい体質に向かうということになります。したがって、通常の食生活に戻した際のリバウンドも懸念されます。
ボディメイクにおける食事のちょっとしたポイントは少量多頻度なので、1日1食はその逆とも言えます。ただし、過度の肥満対策であるとか、低血糖に馴染んでいくためとか、はたまた長寿遺伝子とも言われるサーチュイン遺伝子を活性化するとか、何かしらの目的があるのであれば、その目的を見据えてしっかりと準備をしたうえで実施をする必要があります。
前回(第157回)の質問への回答とかぶる部分もありますが、私たちは飢餓の歴史を背負っているので、そこへの反応が非常に敏感です。脂肪は溜めやすく、筋肉は失いやすいのもそのためと言えます。しかし奇跡の飽食の時代を迎えるにあたって、好き放題に何でも食べていてはどんどんと脂肪が溜まりボディメイクはうまくいかなくなります。かといって食べないという行為を行なえば、それはすなわち飢餓の情報を発信することになりますので、ますます脂肪は溜まりやすい状態になり、加えて筋肉は分解に向かっていきます。
飢餓への情報を発信させず、かつ脂肪は溜めずに筋肉は合成に向かわせる。この非常に絶妙なさじ加減をうまくいかせないとボディメイクもうまくいきません。その前提がまずは、1日3食という食生活なのだと思います。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。