印象に残った2021年ボディビルフリーポーズベスト5!




数多くのコンテストが開催された2021年。VITUP!も、マッスルゲートやJBBF主催大会を中心に、ここ数年ではもっとも多くの大会に足を運び、リポートさせていただきました。その中で、やはり注目しているのは、フリーポーズ審査。選手個人の特徴を存分に発揮できる場であり、“審査”ということは踏まえつつ、思い入れのある楽曲などをBGMに好きなポーズを披露する姿は観る者の楽しみでもありました。

そこでVITUP!では、独断と偏見で「印象に残ったフリーポーズベスト5」を発表したいと思います!

第5位:斉藤忠男選手&高岡由紀江選手(6/12マッスルゲート四国)

まずはご存知、二人合わせて154歳の愛媛が誇るレジェンドペアの2人。「トレーニングは若々しくいられる秘訣」を証明するかのように、ウキウキの入場からイキイキとステージでポージングを披露。

マッスルゲート愛媛大会では冒頭で軽い音声トラブルがあったものの、何かささやき合うようにしながら再開を待ち、息の合った姿を披露してくれました。

そんなお二人ですが、今シーズンをもって競技からの引退を決意。ラストステージとなったゴールドジムジャパンカップでは、斉藤選手はなんとモヒカン姿で登場!トレーニングは厳しく大変なもの、でも楽しいものであるというのを最後の最後までステージで体現してくれました。本当に、お疲れさまでした。

第4位:水沢充裕選手(10/3全日本学生ボディビル選手権大会)

やっぱりBGMのチョイスって大事だなぁ……と思わせてくれたのが、日体大バーベルクラブ3年の水沢選手でした。彼がチョイスしたのは、ドラマ「WATER BOYS」のオープニングテーマである「シンクロBom-Ba-Ye」。まさに、青春!っていう誰もが知っている楽曲で、学生選手権という舞台と相まって特に印象に残りました。まるで、ドラマや映画のワンシーンを見ているかの美しさがあったのを覚えています。

もちろん楽曲頼みなわけではなく、曲に合わせたポージングも美しく、関東学生大会ではベストポーザー賞も受賞、総合順位でも1~4位が4年生であったことを考えると、来年は優勝も十分に狙える位置!さらなる躍進が楽しみです。

第3位:伊藤悠斗選手(8/22マッスルゲート関西)

正直な話を言ってしまうと、マッスルゲートはトップレベルの選手が出場するわけではないので、YouTubeチャンネルにフリーポーズ動画を公開しても、視聴回数ってのは“そこそこ”なんですよ。昨年にマッスルゲートに出場した才木玲佳さんや、今年の名古屋大会でのジャンポケおたけさん(フリーポーズではないですが)は別として。

そんななか…マッスルゲートで数少ない1万回越えを記録したのがこの関西大会。その要因となったのが、広島・レモンジムのハムちゃんこと伊藤悠斗選手。

PSY「Gangnam Style」をBGMにところどころ「おふざけ」を挟みながらも、その間はビシっと決めるポージングのメリハリっぷり。しかも、彼が出場した75kg以下級は4人がステージに立ったのですが、比較審査までは3位。ところがこのフリーポーズ審査で審査員ほぼ全員が1位票を入れたことで、最終的に2位に!「フリーポーズだけなら優勝」という結果になりました。

後にレモンジムのYouTubeチャンネル「レモンチャンネル」では「世紀の大誤審?!」「前代未聞!」と振り返っていたこともあり、この再生回数の伸びにつながりました。

彼らの話の中にもありましたが……マッスルゲートは、長いんです。この関西大会も朝10時に始まり、ほぼ休憩なし(5分休憩が2,3回)で、終わったのが21時すぎ。撮影をしている我々も、審査員の方々も終盤は疲労困憊。そのような中、20時半前に登場したハムちゃんのこのフリーポーズが審査員の方に元気を与え、思わず?1位を入れてしまったのかも?

フリーポーズはエンターテインメント。ボディビル界に新たな評価基準を与えた瞬間でした。
最後に……。本当にすみません。この関西大会では機材トラブルがあり、実は予備機での撮影となったため画質が低いという…。高画質で残しておきたかった。マッスルゲートでは一般の方の一眼レフなどの撮影は禁止されている中、記録を残すべき私たちがこういうミスをしてしまい申し訳ありません。

第2位:相澤隼人&相澤飛鳥(9/11日本クラス別選手権)

言わずと知れた、相澤兄弟。審査中に気付いていたのですが、二人とも同じ「ナニコレ珍百景」のテーマをBGMにポージングしていましたね。本来、フリーポーズは並べて比べるものではないと個人的には思っているので(フリーポーズはどっちも良いものなので)、あまりこういった編集はしないのですが、「これはせっかくの機会だから」というで公開してみました。「これが見たかった」とSNSなどでもお言葉をいただき、大変ありがたい限りです。

2人を並べてみると、若干最初の曲の入りのタイミングが違ったこともあって途中はなかなかそろわないのですが、最後は、飛鳥選手の母校・神奈川大学の大河原久典監督を象徴する【ガワラポーズ】でフィニッシュ!いやぁ、美しい。

隼人選手がご存知の通りこの2ヶ月後には日本一に輝いたことも含め、2位とさせていただきました。この日本クラス別でも周囲を圧倒するような存在感があったのですが、日本選手権でのフリーポーズと比較すると、さらにそこでは一段ギアアップした姿が。あらためて、若きモンスターの成長っぷりには驚かされますね。

第1位:東将治選手(10/10 日本ジュニアボディビル選手権)

映えある1位は、自分が見た印象も、そして視聴者の声も最も多かったのが「こんがり」こと東将治選手の日本ジュニア選手権でのフリーポーズ。なんせ、この10/10の夜にミスター日本の相澤隼人選手のフリーポーズとほぼ同時に動画を公開したのですが、東選手のほうがグングン再生回数もコメント数も伸びていきました。

これまで、比較的シックな楽曲をチョイスすることが多かった気がするのですが…。

この言葉の後、ステージで披露したのは超絶ロックナンバー、マキシマム ザ ホルモンの「爪爪爪」をBGMにしてのポージング。開始数秒で不気味な笑い声からスタートすると、激しいリズムに合わせて、サビでは得意のサイドバックポーズなどを含めて次々とポーズを繰り返していく。

キレ味抜群の身体はもちろん、表情はもちろん爪の先まで力が入り切った流れるステージングには、「何度観ても鳥肌立つ」「男心がくすぐられるフリーポーズ」「荒々しさと美しさのどちらも感じられる」といったコメントが寄せられました。

ゆったりとした曲で確実に見せていく選手が多い中、ハイテンポな曲でもしっかりと見せることができると証明した東選手。5度目、そして23歳となり最後のジュニア選手権挑戦で王者を勝ち取ったことも含めて、会場はもちろん中継などを見ている方にとんでもないインパクトを残してくれました。

文/木村雄大