フィットネスモデルとグラビアアイドルを掛け合わせた“フィグラ女子”として大会やメディアで活躍する「とももともも」さん。近年は趣味だったコスプレにも力を入れており、コスプレイヤー「桃兎もも」としても活動中だ。そんな彼女の“奇跡の2.5次元ボディ”とも言われる肉体の原点はいったい何なのだろうか。とももとさんの歩みに迫った。
――トレーニングをはじめたきっかけを教えてください。
「もともと服飾が趣味で、それが後にコスプレにもつながるのですが、一度そこから離れたときに『何か趣味がほしい』と思ったんです。そんなときに、アルバイトをしていた居酒屋の先輩でビキニのコンテストに出ている方がいて、『筋トレを趣味にするのはどう?』と勧められたのがきっかけですね」
――それまでは、日常的にトレーニングをしたりすることはなかったのですか。
「人並みにダイエットはしていましたが、あまり知識がなかったので間違ったやり方をしていたと思います。大学2年生のときに初めてベストボディジャパンに出場してみたのですが、当時はトレーニングやボディメイクの知識がなく、ただただ痩せるために無理に食事を減らしたりして、ガリガリの体のまま大会に出てあっさり予選敗退。それがすごく悔しくて、本格的にトレーニングを始めるようになりました」
――敗北をきっかけに、本気になっていったと。
「トレーニングはもちろんですが、食事面にも気をつけるようになりました。パーソナルトレーナーの先生に、1日の中でのPFC(P:タンパク質、F:脂質、C:炭水化物)バランスの大切さを教わりました。それから自分で食べ物にどのくらいタンパク質や脂質が入っているかというのを覚えるようにして、徐々に計算しなくても1日のPFCバランスを決められるようになっていきました」
――そこから体も変わっていきましたか。
「はい。もともとは筋肉がつきにくかったのですが、タンパク質の量を増やしてから少しずつつくようになりました。脂質を減らすようにしてからは太りにくくもなり、そこから大会の順位もどんどん上がっていきました。トレーニングは大事ですが、食事もやはり大事だなと意識が変わっていきましたね」
――2019年のベストボディジャパン日本大会で4位入賞、2020年にはEVOLGEAR Blaze OpenとNPCJ JAPAN CLASSICの両大会のモノキニ部門で優勝をされました。食事以外で飛躍につながった理由は何だと思いますか。
「自分の負けず嫌いな性格だと思います(笑)。ひとつ大会に出ると決めたら、そこに向かって毎日トレーニングのことを考えたり、減量するために食事をどうするかも考えました。そこに費やした時間と気持ちの量が大きかったのではないかと思います」
――他人にというより、自分に負けたくないという思いでしょうか。
「どちらもありますね。一度優勝するとそれ以下にはなりたくない、過去の自分に負けたくないという気持ちも出てきますから。競技なので人に負けたくないのはもちろんですが、やはり自分に負けない強い気持ちがないと勝てないと思います」
――すっかりトレーニングが生活の中心になっていそうですね。トレーニングをはじめて良かったことはどんな点ですか。
「まずは健康になったこと、そして筋肉量が増えて体型維持がしやすくなったことですね。その他にも、トレーニングを通じて多くの方に自分のことを知ってもらうきっかけにもなりました。今はトレーニング関係のお仕事をいただくこともありますし、いい方向に自分を広げられたと思います」
――「フィグラ女子」=「とももともも」という認識も広がりましたね。
「『フィグラ女子』というネーミングも、仕事をやっていくうえで、何か自分にしかない特徴がほしいと思ったから付けたんです。当時からグラビアのお仕事をいただいていたのですが、フィットネスとグラビアを掛け合わせた単語はないなと思って。当時、モグラ女子(モデル×グラビア女子)が流行っていたので、フィットネス×グラビアもありだと思い、フィグラ女子と自分で名乗るようになりました。最初からフィグラ女子を目指してトレーニングをはじめたわけではなかったのですが、気づかないうちにいい方向に進んでいったと思います」
――トレーニングにおける今後の目標を教えてください。
「今年はFWJ(Fitness World Japan)のビキニ部門に挑戦してみようと思っています。これまでのモノキニ以上に筋肉量も求められる審査になるので、肩回りやお尻の後ろ、ハムストリングスのカットなどを意識して磨いていこうと思っています」
――FWJであれば、プロカード獲得も視野に?
「そうですね。それに向けた挑戦もしてみたいというのも、FWJのコンテストに出る理由の一つです」
――今後は大会で勝てる体をより意識されていくと思うのですが、一方で、いわゆるグラビアで“ウケる”体とは方向性が少し違うと思います。そのあたりで葛藤はないですか。
「フィグラ女子と言いはじめたのも、『私にしかできない体で勝負したい』と思ったからなんです。だから、大会に向かってつくっている体でグラビアを撮ったら、それは良い意味で違う作品になると思います。いわゆるグラビアで“ウケる”作品はそういう体を持っている人がやればいいと思いますし、私は私で、自分にしかつくれないものを目指していきたいですね」
――なるほど。自分にしかできない体を表現すれば、トレーニングをする喜びを伝えることもできるかもしれませんね。
「はい。お風呂から上がって鏡を見たときに、『いい体になってきたな』と思えるのもトレーニングをやっているからこそ。大会で勝つ喜びも日々のトレーニングの賜物だと思います。より多くの人に、トレーニングの魅力を伝えられたらうれしいです」
取材・文/森本雄大
写真/木村雄大
撮影協力/パーソナルトレーニングジムBiP
とももともも
フィットネス×グラビア=フィグラ女子。股下84センチ、8頭身の2.5次元ボディを武器にグラビアなどで活躍する傍ら、パーソナルトレーナーとしても活動。美ボディを競うボディメイク大会にも出場し、2020年にはEVOLGEAR Blaze Open、NPCJ JAPAN CLASSICの両大会で優勝をはたした。趣味のコスプレはハイクオリティーで、業界でも注目度が上昇中。その他にはドラマ、映画にも出演するなど、マルチに活動の幅を広げている。