サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第193回は、イノシシや鴨など、ジビエ肉が持つ栄養価的な魅力について。
■一般的に高タンパクで低脂質、低カロリー
野生の鳥獣類の肉をジビエと言いますが、私たちの身近なところでのジビエの代表はイノシシではないでしょうか。
イノシシの肉を使ったぼたん鍋はかなり一般的な食事に近いジビエで、以前は独特の臭みを敬遠する人もいましたが、イノシシ自体のニオイではなく血抜きなどの処理技術の問題に起因しているので、最近は臭みはほとんど気にならなくなりました。栄養価的にもビタミンB2、B12、鉄分などが豊富で、高タンパク、低カロリーです。赤身と脂がはっきりと分かれていますが、脂身も牛肉のようなくどさがなく非常にあっさりとしていて食べやすいのも人気の理由です。
イノシシの他には、鹿、野ウサギ、鴨なども代表的なジビエです。最近はカラスもジビエとして食するケースがあるそうですが、個人的には少し抵抗感がありますね。ジビエは野生の鳥獣類ですから、飼育された家畜よりも動き回っているために、脂肪が少なく高タンパクな体になっています。結果として、一般的にジビエは高タンパクで低脂質、低カロリーといった魅力があります。またビタミンのBが豊富で、概してB12を多く含みます。他にも鉄、亜鉛といったミネラルも豊富なので、栄養価という観点からは非常に優れていると言えます。
ただし、気をつけなくてはいけない点もあります。それは細菌やウイルスを多く含んでいるということです。野生の鳥獣類の一番の注意点は、決して生では食べないということです。したがって、必ずしっかりと煮るなり焼くなりした状態のものを食する必要があります。しかしジビエの魅力は栄養価という観点よりも、やはりその独特の食感や風味なのではないでしょうか。一般的には日々食するといった食材ではありませんから、非日常といった感覚で、普段とは違うおいしさを楽しむというのが一番の魅力である気がします。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。