廣戸先生と出会って、「自分はこれでいいんだ」と自信を持てた【三土手大介が伝授する4スタンス理論×トレーニングvol.2】




近年は多くの識者がさまざまなメディアでトレーニング情報を発信し、「いったいどれを参考にすればいいんだ、何が正解なんだ」とトレーニーたちが頭を悩ませがちである。そのような中、個々の身体特性を引き出す「4スタンス理論」をベースに指導にあたっているのが、元パワーリフティング世界チャンピオン・三土手大介さんだ。第2回は、三土手さんが4スタンス理論や廣戸聡一さんから受けた恩恵について。

ぼんやりと感じていた疑問が一瞬でつながった瞬間

――三土手さんが4スタンス理論に出合った経緯を教えてください。

三土手 ウエイトトレーニングを13歳から始め、高校生から本格的にバーベルを使ったトレーニングをして、20歳のときには全日本のチャンピオンになりました。ただ、トレーニングをしている中で、いわゆる「基本」と言われているフォームがあるにも関わらず、自分とは違うフォームがあることを当時から感じていました。なんとなくですが、2種類はあるのかなと。これが後に、スクワットやデッドリフトだとAタイプとBタイプで違いがあり、ベンチプレスだとクロスタイプとパラレルタイプで違うとわかったわけです。

――そのような中で、4スタンス理論の提唱者である廣戸聡一先生と出会ったわけですね。

三土手 あの時代はがむしゃらにトレーニングをしてたこともあり、ヘルニアを患ってしまい、自分の体はもうボロボロでした。いろいろな病院の先生に見てもらって、針を刺してもらったりとか、かなり怪しげなところもあって。でもなかなか良くはならなかったときに、廣戸道場を紹介してもらったんです。初めて行ったのは、24歳くらいだったかな。それまでの病院の先生は何かしらの治療してくれたんですけど、廣戸先生だけは違って、「こんな状態で来られても、アイシングしかできないよ」と。そう言われたときに、この先生は何か違うなと感じたんです。

――そこで見放されたわけではなく、治療を進めていったんですか。

三土手 はい。そこから定期的に施術に通うようになって2年くらい経ったときに、廣戸先生が「三土手君は、スクワットをこういうフォームでやるでしょ」と言ったんです。トレーニングのフォームは一度も見せたことないのに、ズバズバと言い当てられたんですよ。それで、「実は三土手君は、つま先の外側に重心があるタイプだから、こういうふうに体を使っているんだよ」と。当時は、先生が4スタンス理論を打ち出した頃だったと思います。

――以前から疑問に感じていたことの答えが、廣戸さんによって示されたわけですね。

三土手 その通りです。自分の中で点と点でバラバラになって混在していたものが、先生の話を聞いて一気につながったんです。ビッグバンみたいにバンとあふれ出したような感じでした。「では、僕以外のタイプはどんな感じなんですか」と聞いたら、「こういう感じだよ」と教えてくれるので、すべてが一瞬で腑に落ちましたね。

――そこから廣戸先生の下で多くのことを学んでいったと思いますが、4スタンス理論に出合っての一番の恩恵はどんなところに感じていますか。

三土手 体の使い方を教わった際に、余計な負担なくトレーニングができるようになったことですね。もちろんトレーニングは頑張らなくてはいけないので、まったく負担のない状態でやったらそれは効果がありません。コップの水で例えるなら、こぼれてしまうからといって半分くらいしか水を入れない状態は質の悪いトレーニングですが、だからといってドボドボとあふれる状態だと、それはもうトレーニングにはならない。表面張力によってあふれるかギリギリのところをどれだけ保てるかが大切。

――負担がなくなったことで、自分にとってのベストが見つかったと。

三土手 4スタンス理論に出合って自分の体のシステムを理解して、どういうふうに使ったらいいか、無意識なんだけどどういう意識でやってるか、そういったことを明確になりました。方向性が道として示されたので、「自分の体の使い方はこれでいいんだ」と信じられる、迷いなくやれるようになりましたし、そうすることで出力も上がっていったんです。

――余計なことを考えなくていいわけですからね。

三土手 迷いながら、何か他のことを考えながらやると、人の体は絶対に高い出力を出せません。「人と違っていいんだ」「人の真似をしなくていいんだ」「自分はこれでいいんだ」ということがわかるのが、4スタンス理論の素晴らしいところかなと思います。

vol.3へ続く

取材・文/木村雄大 写真/中野皓太

三土手大介(みどて・だいすけ)
1972年8月26日生まれ、神奈川県横浜市出身。ウエイトトレーニングジムNo Limits代表。レッシュマスター級トレーナー。一般社団法人レッシュプロジェクト理事。
高校3年生のときにパワーリフティング競技をはじめ、20歳のときに全日本選手権110キロ級で史上最年少優勝。次々に日本記録を塗り替え、世界大会にも積極的に参戦。2000年の世界選手では、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトでトータル1トンを記録し、ベンチプレスは当時の世界記録を塗り替えた。現在はトレーニングジムNo Limitsの代表として、トレーニングの指導にあたっている。自己ベストは、スクワット435キロ、ベンチプレス360キロ、デッドリフト320キロ、トータル1060キロ。4スタンスタイプはA2。
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