誰かの真似よりは、自分のセンスに敏感になるべし【三土手大介が伝授する4スタンス理論×トレーニングvol.3】




誰かの真似が当たる確率は4分の1

――誰かの真似をしたくなるというのは、トレーニング界においてはよくあることだと思います。特に最近ではYouTube全盛の時代でもあり、情報を発信する方が多い。これに関して、4スタンス理論の観点からはどうお考えですか。

三土手 何もわからない状態だと、誰かの真似をしたくなりますよね。私も昔は、ジムの中で誰かのフォームを真似をすることはありましたから。真似をすること自体は、悪いことではないと思います。そこから入って、「これはちょっと違うのではないか」「自分はこうしたほうがいいんじゃないか」と素直に気付くことができる人は伸びていくでしょうから。

――そうならずに、ただ形だけを真似をしてしまう人は危ないと。

三土手 この業界のトップリフターやトップビルダーなどが発信する情報の多くはもちろん間違ってはいないですし、素晴らしいものですよ。自分の体のタイプのことをちゃんと発信していると思います。ですが、自分と違うタイプなのにそれを参考にしたり、あっちのタイプもこっちのタイプも全部取り入れてごちゃ混ぜにしてしまったりすると、うまくはいきません。いわゆるコツと言われるものは、その人の感覚として発見しただけであって、それは4スタンス的に見ると「当たり前」というところも案外多いので。だから、私が指導するお客さんにもよく言いますが、「あくまでもその人の感覚を言っているだけなので、参考にするのはいいかもしれないけど、タイプが違う人は真似しては駄目だよ」と。真似をしてそれが自分に合う確率は、結局のところ4分の1ですから。

――自分がやりやすいやり方を、探っていく感覚が大切ということですね。

三土手 ただ、「やりやすいようにやればいいんだよ」という言葉を放つ人がいますが、ある意味正解で、ある意味間違いだと思います。なぜかというと、その言葉を放つ本人は、自分がやりやすいようにやることで、うまくいくセンスを持っているんです。でも、他人が自分と同じセンスを持っていないということを、わかっていないこともあるでしょう。だからその言葉を聞いて「そっか、やりやすいようにやればいいんだ」とやってみて、とんでもない方向にいってしまった人もたくさん見てきましたから。そこは感覚の部分、自分が良い形で動けているのかを感じ取る能力。センスと言われるものなので難しいところなんですけどね。

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取材・文/木村雄大 写真/中野皓太

三土手大介(みどて・だいすけ)
1972年8月26日生まれ、神奈川県横浜市出身。ウエイトトレーニングジムNo Limits代表。レッシュマスター級トレーナー。一般社団法人レッシュプロジェクト理事。
高校3年生のときにパワーリフティング競技をはじめ、20歳のときに全日本選手権110キロ級で史上最年少優勝。次々に日本記録を塗り替え、世界大会にも積極的に参戦。2000年の世界選手では、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトでトータル1トンを記録し、ベンチプレスは当時の世界記録を塗り替えた。現在はトレーニングジムNo Limitsの代表として、トレーニングの指導にあたっている。自己ベストは、スクワット435キロ、ベンチプレス360キロ、デッドリフト320キロ、トータル1060キロ。4スタンスタイプはA2。
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