腹筋(シットアップ)トレーニング解説編【三土手大介が伝授する4スタンス理論×トレーニングvol.6】




近年は多くの識者がさまざまなメディアでトレーニング情報を発信し、「いったいどれを参考にすればいいんだ、何が正解なんだ」とトレーニーたちが頭を悩ませがちである。そのような中、個々の身体特性を引き出す「4スタンス理論」をベースに指導にあたっているのが、元パワーリフティング世界チャンピオン・三土手大介さんだ。ここまで5回のインタビューで彼の掲げる理論や理念を探ってきたが、ここからは実践編。まずは、腹筋(シットアップ)のトレーニングを4スタンス理論の視点から解説してもらった。

タイプに合った形だと安全に強くなれる

腹筋を鍛えるトレーニングの定番であるシットアップ。膝を立てて体を起こすというシンプルな運動であるため、あまりフォームやセッティングを気にすることなく行なっている人も多いのではないでしょうか。しかし、4スタンス理論の観点から見ると、セッティング一つでその効果などは大きく変わってくると三土手さんは言います。

「姿勢のつくり方にタイプ別のポイントがあります。モデルの方(編集部員・中野)はA1タイプですが、Aタイプは手首や肩、首の付け根、股関節を積極的に可動させたく、肘や膝、みぞおちは安定させたいタイプ。なので、股関節から動かして足を曲げていくことで、Aタイプにとって正しい順番でセットした形になります。加えて1タイプの人は、大腿骨に内旋がかかる形になります。こうすると、A1タイプの土台が決まっている状態になります」

実際にこの状態で行なうと、A1タイプの中野はスムーズに上半身を起こすことができました。ただ、次にB2タイプの形(膝から動かして曲げていく、大腿骨を外旋させる)を三土手さんにセットしてもらってやってみると、うまく上半身を起こすことができません。ここに、筋トレにおける誤解が生まれています。

「自分のタイプに合うフォームと、そうでないフォームではやりやすさが違います。でもトレーニングの世界で『どっちが効きますか?』と聞かれたら、後者(中野の場合はB1タイプのセッティング)だと受け取ってしまいがち。自分のやりやすい形(タイプに合ったセッティング)でやったほうが、間違いなく安全に、強くなれます。変なテクニックを使って『効いている』と伝えていることがウエイトトレーニングの世界では意外と多いので、気を付けてください」

★次回からは、BIG3の種目であるスクワット、デッドリフト、ベンチプレスについて解説してもらいます。

文・撮影/木村雄大

三土手大介(みどて・だいすけ)
1972年8月26日生まれ、神奈川県横浜市出身。ウエイトトレーニングジムNo Limits代表。レッシュマスター級トレーナー。一般社団法人レッシュプロジェクト理事。
高校3年生のときにパワーリフティング競技をはじめ、20歳のときに全日本選手権110キロ級で史上最年少優勝。次々に日本記録を塗り替え、世界大会にも積極的に参戦。2000年の世界選手では、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトでトータル1トンを記録し、ベンチプレスは当時の世界記録を塗り替えた。現在はトレーニングジムNo Limitsの代表として、トレーニングの指導にあたっている。自己ベストは、スクワット435キロ、ベンチプレス360キロ、デッドリフト320キロ、トータル1060キロ。4スタンスタイプはA2。
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