トレーニング前に摂るべきサプリメントは?【桑原弘樹のサプリ道】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する新連載。今回は、トレーニング前に飲むと効果的なサプリメントについて。
※本記事は、2020年に『VITUP!』で公開した記事を再編集して紹介するものとなります。

■代謝される栄養素を事前に補っておく

基本的な考え方として、トレーニングの際に必要となる栄養素はトレーニング前に摂るといいですよね。

たとえばBCAAは主に筋肉で代謝されるという特徴を持ったアミノ酸なので、トレーニングによって大量に代謝されていきます。つまり、トレーニング中にはBCAAの血中濃度を高めておくのが効果的となりますので、トレーニング前の摂取はおすすめです。

BCAAとかぶりますが、必須アミノ酸もトレーニング前に摂取するといいです。通常、「アミノ酸濃度」とは必須アミノ酸濃度のことを指しますが、トレーニング中は特異的にBCAAが代謝されやすくなるので、まずトレーニング前に必須アミノ酸全体の濃度を上げてやり、さらにそこからBCAAを追加で上げていくという考え方です。少しマニアックですね。

 

カフェイン系もトレーニング前です。カフェインに期待する効果のひとつが覚醒ですから、トレーニングの際にはうってつけです。逆に就寝前などは、避けなくてはいけないタイミングとなります。また、カフェインには脂肪の分解という効果も期待されるので、トレーニング前はダブルで絶好のタイミングと言えます。

アルギニン、シトルリンといった、血管拡張を目的としたNO(一酸化窒素)系のサプリメントもトレーニング前です。以前はパンプアップを目指して使用するケースが多かったように思いますが、最近は血流をよくすることで酸素、各種栄養素を体の隅々まで運ぶという目的が主流になっているように感じます。アルギニンは消耗度が激しいので、アルギニンに加えてその前駆体となるアミノ酸のシトルリンをセットで摂ると効果的です。

ダイエット系のサプリメント、とくに脂肪燃焼系のHCA(ヒドロキシクエン酸)も、トレーニング前がおすすめです。筋トレでも有酸素でも構いません。

最後に、直接のエネルギー源となるカーボもトレーニング前はおすすめタイミングのひとつとなります。ただし、単糖類などの単純炭水化物は、インスリンとトレーニングの効果によって一気に取り込まれてしまうことで低血糖になる危険性がありますから、直前での摂取は控えたほうがいいしょう。ちなみに、カーボはトレーニング直後の摂取はより重要性が増します。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。