プロテインと一緒に摂ると効果が上がるサプリメントは?




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する連載。今回は、プロテインと相性がいいサプリメントについて。
※本記事は、2020年に『VITUP!』で公開した記事を再編集して紹介するものとなります。

■MDのような糖質は相当な相乗効果を生む可能性も

プロテインと相性のいいサプリメントをよく聞かれるのですが、プロテインは栄養そのものですから、そこに何か機能的な成分を添加しても必ずしも相性がいいとまでは言えません。

私もプロテインの価値を上げようと考えて、さまざまな機能性の成分を配合したことがありますが、決して相乗効果が出たとは思えませんでした。つまり、個々に摂取した場合とさほど違いがなかったということです。

その点、同じ栄養という価値を持つマルトデキストリン(MD)のような糖質は、摂取のシーンにおいては相当な相乗効果を生み出す可能性があります。これはとくにゴールデンタイムなどに顕著になるかと思います。筋肉の材料となるタンパク質と、エネルギー源となる糖質をトレーニング直後に摂取することになるからです。

筋肉は合成と分解が綱引きをしているような状態にあります。筋トレ中は分解が優位で、その直後から一気に合成が盛り返していくイメージです。

トレーニング直後の糖質はグリコーゲンリカバリーという役割と同時に、筋肉の分解を抑える役割を担い、プロテインは筋肉の材料であり合成を促進する役割を担います。また糖質によってインスリンというホルモンが分泌され、これによって栄養素の取り込みがより促進されるというメリットもあります。

ただし、食後などにMD入りのプロテインを摂取すると、場合によってはカロリー過多となって太る原因にもなりますから、相性がいいからと言って常時活用するのではなく、その目的をしっかりと見据えて利用するのがいいでしょう。

トレーニングの後半、もしくは直後という点で言えば、クエン酸はグリコーゲンリカバリーを促進する作用や乳酸を減らす作用がありますから、同時に摂取とまではいかずともタイミング的に近いところで摂取するといいかもしれません。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。