スパルタンレース、バーティカルランニング(階段垂直マラソン)の選手として活躍しつつ、パーソナルトレーナーとしても活動している陣在ほのか選手。学生時代は陸上競技に打ち込み、全国の舞台で成績を残してきた。そんな彼女がスパルタンレースに惹かれ、競技に打ち込むようになったルーツとはどのようなものなのだろうか。そして、彼女が目指す選手像とはいったい――。インタビュー最終回では、陣在選手のトレーニングや、パーソナルトレーナーとしての活動について伺った。
スピード重視で走ったり、山に入って練習することもあります
――スパルタンレースに向けて、普段どのようなトレーニングを行なっていますか。
「走ったり鍛えたり、いろいろなことをやっています。1週間のメニューは細かく決めていなくて、そのときの体の感覚、次のレースの種目や試合会場によっても変えています。たとえば、ビースト(21km以上+障害物約30)のレース前は山に入ってトレイルをやったり、スプリント(5km以上+障害物約20)ならもう少しスピード系の種目を入れるなど調整していきます」
――レースに合わせてトレーニングを変えていくと。
「はい。前の月はスピード重視、短時間集中でガンガン走っていたのに、次の月に入ったら山に入って4時間も走っているとか、そういったこともありますね(笑)。ビーストなどの長いレースの時は、山やスキー場でトレーニングしたりします。また、そういったトレーニングをする中でも、走る根本の動きづくりは大切にしています」
――筋トレはどのように行なっていますか。
「下半身は走るだけで筋肉がつくタイプなので、上半身の強化を集中して行なっています。握力の強化や持ち上げる動作、今はクロスフィットも合わせてやるようにしています。レース本番では、持ち上がらないほどの重さはあまりないですが、素早く挙げる、動かすというところが大切なので、そのためのトレーニングをしています。魅せる筋肉ではなく、動ける筋肉をつけることを意識しています」
――動ける筋肉とは、どういったものなのでしょうか。
「たとえば、使う筋肉をしっかり意識して鍛えることなどです。腸腰筋とハムストリングスと大臀筋(お尻)がとくに大切になると考えているので、そのあたりをちゃんと使えるようにすることは大切ですね。私は長距離走専門ではありませんが、100キロ走ろうと思えば走ることはできます。それがなぜかというと、無駄のない走りができているからだと思います距離が変わっても動きの根本は変わらないので、無駄のない動きが一番大切だと思います」
――筋トレの中で意識していることはありますか。
「たとえばデッドリフトであれば、重量を挙げることにフォーカスせず、デッドリフトをやってからバービーをやるなど、心拍数が上がった状態でどれだけ正確に動けるかを意識しています。レース本番はつねに心拍数が上がった状態で障害物にトライするので、その状況を練習からつくるようにしています」
――筋肉の使い方も意識していますか。
「はい。太ももの前の筋肉が張ってしまう人がいると思うのですが、基本的に前の筋肉というのはストップをかける筋肉なんです。なので、それを使っている人は見なおしたほうがいいと思います。あとは重心の位置、腕の振り、タイミング、足裏や足の指の使い方など、全部がつながってきますね」
――走るうえで体の使い方を知ることは、ケガの防止にも効果がありますか。
「はい。効果を発揮すると思います。走りにおいてケガをするということは、動きの中の何かの要素がおかしいということです。誤った動きを修正するために、人に自分の走りを見てもらうなど、客観的な視点から分析することが大切だと思います」
――スパルタンレースでは、とくに実際に使える筋肉をつけることが重要ですね。
「走る動きにつながらない筋トレをしていても、必要のない筋肉がついてしまうので、必要なところだけ鍛えることが大切です。その上でどのタイミングで使うか、筋肉の使い方を体に叩き込んでいくといいでしょう」
◆さまざまな経験を活かして、パーソナルトレーナーとしても活躍