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【THE MATCH 2022】那須川天心コメント全文「負けたら死のうと思っていました」

6月19日、東京ドームで『THE MATCH 2022』が開催された。“世紀の一戦”と謳われた那須川天心と武尊の頂上対決は、1Rに左フックでダウンを奪った那須川が判定5-0で勝利。ここでは試合直後の那須川のコメントをノーカットでお届けする。

――試合を終えての率直な感想からお願いします。

「もうなんか開放されました。すべてが終わったなという感じです」

――武尊選手の印象は闘う前と後では違いましたでしょうか。

「いや印象は、ずっと同じでしたね。本当に気持ちの入ったファイターで、マジで出会えてよかったなと、感謝しかないです。ありがとうございます」

――東京ドームでの闘いはいかがでしたか。

「めっちゃ気分よかったですね。格闘技、日本のエンタメの中でも一番盛り上げられたと思うので、格闘技も捨てたもんじゃないと日本中に伝えられたと思います」

――今後の展望については、どのようにお考えですか。

「1回休みたいです。すべてから開放された1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、5ヵ月くらい休みたい」

――やりたいことはありますか。

「なんだろう、格闘技のこと1回も考えない日々を送りたいです」

――ゴンドラの上から見た風景はいかがでしたか。

「星みたいでした。逆夜空みたいな。いつも上を見ると星。空から見ていたような、俺が地球になったという感じでした」

――リードジャブが冴えていました。

「何パターンが用意していました。そこから組み立てることができて、いつもより落ち着いて闘えました」

――右のジャブに対する武尊選手の対応というのはどうでしたか。

「僕、相手のセコンドの声がよく聞こえて、『右のジャブは捨てろ』というふうに言っていたので、『ジャブは捨てろ』ってずっと言っていたから、だからあえてジャブを踏み込んで思いっきり打ちました。それでジャブで止めることができたので、本当はもっとジャブでポンポンという感じで打とうと思っていたんですけど、相手の声が聞こえたので踏み込んで強く打とうと思って打った感じです」

――中盤にダウンを奪った左というのはどんな感触だったんですか。

「会心の左でした。カウンターというか、コンパクトに狙う。大きくならないで刀のように、刹那というか。それを意識したパンチでダウンが取れましたね」

――2Rでバッティングを受けて、少々試合の流れが変わったと思いますが。

「そうですね。そこでちょっと集中力というか、切れてはいないですけど、ちょっとヤバいみたいな感じになって、偶然のバッティングなので仕方ないですけど、ちょっと視界がぼやけて、ちょっと落ち着かないと、というのはありましたけど、そういう中でもしっかり対応できてよかったです」

――3R目で、その視界は戻りましたか。

「戻らなかったですね」

――今は、どうですか。

「今はだいぶよくはなりましたけど、右目はずっとぼやけてたかなと。しっかりと冷静になって行かないと、という感じでした」

——そんな中、3Rは流れ的にいかがでしたか。

「展開的には、もう相手が絶対に来るから、そこにもう全部を合わせる。そういったイメージでした」

――闘っている中で、武尊選手の強さを感じた部分はありましたか。

「一番感じた部分としては、やっぱりプレッシャーというのはすごい感じました。今までやった選手の中でも本当に、一番強かったんじゃないかなという。だから本当に僕と真逆のファイターというか、ファイトスタイルですけど、そこの中でしっかり闘えたという、そこで勝ち切れたというのが大きいですね」

――ジャブも含めて那須川選手が支配した試合だと思いますが、余裕が生まれるような場面はありましたか。

「やっぱりダウンをとった時、本当にゆっくり見えたから、そこでスコーンという。本当に力入れなかったんですよ。斬るというイメージで、そこはよかったです」

――試合後にキックボクシングは最後の試合と言っていましたが、逆に言うとそこまでは、そんなにそこを意識せずに試合をしていましたか。

「そうですね。なんかもう最後とかじゃなくて、武尊選手と闘うという、それだけずっと意識してやっていました」

――終わってみてキックボクシングがラストという感情は出てきましたか。

「どうだろう。まだちょっとしばらくないんじゃないですかね。でも終わりと言うと、悲しくなりますね」

――最後は涙もありましたが、武尊選手とはどのような言葉を交わされたんですか。

「『天心君がいなかったら、俺はここまで続けられてなかったし本当にありがとう』という気持ち、そういう話。まだいっぱい話したんですけど、そういう感じの話です。そこは最後に男話という感じで」

――しばらく格闘技を考えたくないとのことですが、どのような気持ちで過ごしていたんでしょうか。

「だから俺マジで、本当に、負けたらマジで死のうと思っていたんですよ。本当に思っていて、動画撮って、もうこれ遺書でつくっておこうと、やっていたんですよ。そういう気持ちでした、ずっと。だから次の日をやっと迎えられると思って、もう本当によかったと心の底からよかったと思います。だからずっと、今日が人生最後の日だと思っていました」

――よく武尊選手が「死んでもいいくらいの気持ち」みたいなことを言っていましたけど、自分もまったく一緒でしたか。

「そうですね。俺は死んでもいい気持ちではなくて、もう死んでもいいと思っていたから。終わるんだと思っていました。よかったです、生きることができて」

――観客の期待感がものすごかったと思います。フロイド・メイウェザーの時よりも上だったと思いますが、それはリング上でも感じられましたか。

「なんか不思議な感覚だったんですよね。パンチを当てます、それで歓声が『ウォー』じゃなくて、パンチを当てて何かの動きをしたら『ウォー』みたいな。反響しているというか」

――時差みたいな感じ?

「そうです。時差がすごくて、当てて『…ウォー』みたいな。だから不思議な感覚でした。反響しているのか、俺がそっちの次元に言っているのか、ちょっとわからないくらいの」

――無重力みたいな感じですか。

「無重力というか重い感じ。時間がゆっくりな感じになったのか、という感じでしたね。パンチとかも本当に中で闘ったりもしたんですけど、見えましたしガードをしっかり高く上げるというのもできたし、なんかすごい不思議な感覚でした」

――キック最後の試合で矢沢永吉さんの曲がフルで流れました。

「そうですね。本当に、こういうのはおこがましいかもしれないですけど、今日は矢沢さんに近づけたんじゃないかと思いました」

――菅田将暉さんから花束を贈呈されましたが、何かお言葉はありましたか。

「連絡したら、花束を贈呈してくれるというふうに言ってくれて、それでリング上でも会って『期待してるよ』って言ってくれて。心強い言葉を言ってくれたので、すごいパワーになりました」

――坊主姿を公に出すのは今日初めてなんですよね。

「そうなんですか。やっぱいいですよね、イケメンって。なんでも似合うじゃないですか。すごいなって。爽やかでしたね」

――何か言い残すこととして、格闘技界にメッセージがあればお願いします。

「本当に今回こうやって格闘技、日本のエンタメの中で一番大きいことができたので、これを見て格闘技を目指そうと思ってくれた子どもとか、次の世代。俺もテレビを見て、K-1を見て格闘技を始めた、キックボクシングを始めたわけなので。だからそういった存在にやっとなれたなと思うので、ここからすぐにまたこういう大きな大会ができるかと言ったらそうではないと思うんですけど、できるようになってほしいなと。こうやって選手たちが、選手たちの思いはみんな一緒ですし、みんな一番を目指しているし、最強を目指しています。みんな本当に純粋だと思うので、その気持ちを踏みにじってほしくないなと、ただそれだけを思っています」

――記者会見でちょくちょく那須川選手が、人生最後の日と言っていました。我々はキックボクシング最後の日という意味だと思っていましたが、今の話からすると本当に負けたらここで死のうと思っていたんですか。

「はい、そうです」

――天心選手は、ここからボクシングという新たな道があるわけじゃないですか。それでもそう考えたという理由は?

「理由というか、ボクシングというものを考えなかったですね。もうこれに全部をかけるしかないと思ったので。そうじゃないと勝てないし、そうじゃないと闘えないし。だからもう全部ないとずっと思っていたから、この日のために毎日生きて、やっと次の日も生きられるなと思うと、マジでハッピーですよ」

――それは対戦が決まった時から思っていたことですか。

「思っていました」

――試合前の研究で、武尊選手の弱点や癖は見抜けていましたか。

「そうですね。何個かというか、どんなものが来てもいいように対応をしていたし、そういう練習をしていたので、だから問題なかったです」

――3Rに武尊選手がノーガードで来た時はどのような気持ちでしたか。

「ここで乗ったらいけないと思いました」

――「きたきた」という感じ?

「そうです。全部研究して、笑ったらこのパンチが来るとか、そういう対策もしていたので。笑ったらこのパンチが来るという癖とか、笑ったらこういう動きをするとかも、全部やってきたので。だから落ち着いて対処できたと思います」

——リング上で「これまで最強と思ったことはなかった」ということでしたが、ここまで一つも負けていなくて、どういう心境だったのでしょうか。

「なんだろう。ずっとなんか、寂しかったですね。やっぱりずっと試合あるんですけど、ワクワク感があんまりなくて、ずっと。でもやっと、ここで闘えたと言うか、やっと出会えたと言うか。だからこそ、すごい自分の中で『あ、俺この人に勝てば本当に強いと認めてもらえる』と言うか、やっぱり世間からもいろいろ言われたりお互いしたし、選手同士はやりたいのにできないというのがずっとあったので、それがやっとできる。それで『この人に勝てば俺は強いってことでいいのかな』というふうにずっと思っていました。正直、闘わないで引退するのって、マジで心残りがすごいあったから、こういうふうに闘うべくして運命的な出会いだったんじゃないかなというふうに思います。その言葉で片づけるのも、あんまりよくないとは思うんですけど、そういう感覚です」

――最後、一人目のジャッジが出るか出ないかくらいから涙がありました。あの涙の理由は?

「リング上のことは今あんまり覚えてなくて。俺そんな泣いていたんですかね?」

――判定を聞く前に涙を流していました。

「マジですか。なんだろうな、出た感情じゃないですか。すごい、なんか感情がバッと出ちゃったんじゃないかなと思います。あんまり記憶ないんですよね」

――負けたら死ぬという決意の中でリングイン。その恐怖というか、プレッシャーに打ち勝つことができた理由はなんですか。

「打ち勝てたものは、やっぱりチームを信じ切って闘えたことじゃないですか。やっぱり今までやってきた最後。最後しっかりカウンター狙って、那須川天心の強さを見せるというところを、最終的に自分を信じきれたところが、俺は勝てた原因かなと、勝因かなと思いました」

――そのチームには当然、お父さんという存在もありました。

「そうですね。父親だったり、ボクシングのトレーナーだったり、うちのチームは本当に、チーム天心、最強の仲間なので。本当にみんなに感謝しかないです」

――昨日の会見でも試合のイメージはできているとおっしゃっていました。そのイメージと合っていたところと違ったところを具体的に教えてもらえますか。

「なんか合っていた、違うとかじゃなくて、ずっと闘うとか闘わないとか言われていて。で、画面でしか見たことなかったから、『うわ、武尊だ』という感じだったんですよ。だからすごいずっと大きく想像していたんですよね。でも対峙してみたら、思っていたより、骨格とか体とかはでかいんですけど、思っていたものより小さく見えたんです。だからそこを思えたというところが勝てた要因というふうに思いました。何倍も何倍も強い武尊選手をイメージしていたから、そのイメージの範囲で闘えたというのはありましたね」

――今言える範囲で、今後ボクシングにおいてどういうところを目指していくのかを教えてください。

「どういうところ。そうですね、ちょっとまだ、一旦休んでから考えようかなと思います。ちょっとまだわからないです」

――今日が那須川会長最後のセコンドだと思うんですけど、何かそこで感じることはありますか。

「今率直に思うのは、本当に感謝の気持ちしかないです。感謝の気持ちしかないですし、本当にできすぎですよね、父の日だし。なんだろうな、こんなことってあるんだっていう。しかもロッタンに勝った日も父の日なんですよね。いいですよね、いい話」

――ボクシング界において、武尊選手に匹敵するような好敵手は見つかりそうですか。

「まだ、とりあえず次は考えてないです」

――武尊選手は「負けは死を意味する」と言っていますが、那須川選手から見てこれからの武尊選手に期待したいことはありますか。

「いや、どうなんですかね。これはリング上で二人で話したことだから、あんまり言えないんですけど、武尊選手の思いがあったみたいなので。期待することとかではなく、なんですかね。ちょっとこれは内緒です」

――キックボクシング最後ということでキック界、格闘技界に何か言葉があればお願いします。

「本当に最後の最後に武尊選手と闘えて、こういう舞台を用意してくれて、関係者の方だったり、そして本当に武尊選手には感謝しかないです。本当に僕の前に立ちはだかってくれてありがとうというか、闘ってくれてありがとうと、本当にそういう感謝の気持ち、それしかないです。あとは本当、僕をここまで成長させてくれたキックボクシング界に感謝したいです。そしてRISE、RIZIN、K-1。本当にどの舞台も最高だと思うので、またこうやって交わることができたら俺はうれしいし、選手もうれしいし。本当に格闘技って一般の人から見たら殴り合って、蹴り合って野蛮なスポーツと思うかもしれないですけど、それでもやっぱり人の心を動かすことができるものですから。本当にキックボクシングに出会わせてくれて、最高の舞台で闘わせてくれてありがとうございましたと、みなさんに伝えたいです」

――ファンに一言、最後にメッセージをいただいてよろしいですか。

「これで那須川天心のキックボクシングは終わりですけども、今後もキックボクシング、格闘技をよろしくお願いします。すごい楽しかったです」