毎朝5時からトレーニングするお父さん。夢は「娘と一緒のステージに立ちたい」【My Training Life/實松健志郎】




アスリートから一般のトレーニーまで、それぞれのトレーニングとの向き合い方を紹介する連載「My Training Life」。今回登場するのは、「Super Body Contest」(SBC)の日本大会でTREND部門優勝などの実績を持つ實松健志郎さん。彼がトレーニングに打ちこむ原動力とは、いったい何なのだろうか。

トレーニングを始めるきっかけは、人それぞれの理由があるだろう。続けていくうちにあこがれや目標を持ち、コンテスト参加を決める人も多いのではないだろうか。そんな中で實松さんは、「トレーニングを始めた時からコンテスト出場を決めていた」という珍しいタイプだ。

「筋トレを始める時に資料を収集していたら、『目指したい人の体を参考にすると良い』という言葉があったので、いろんな選手のことを調べたりしていました。その方々がステージでかっこよくポージングされているのを見かけて、自分もぜひコンテストを目指したいと思ったんです」

最初から高い志を持って始めた實松さんは、当初夕方のトレーニングを日課にしていたものの、営業職という仕事柄、残業や飲み会などでトレーニングができないこともあった。そこで、仕事との両立を考えて、2年目からはトレーニングの時間を早朝5時に変更。今でこそ目覚まし時計なしでも目が覚めるようになり、トレーニングまでのルーティーンもつくっているが、すぐに切り替えられたわけではなかった。

「朝早く起きるので夜は早く寝ないといけないんですけど、なかなか習慣づいていなくて、眠れないまま短い睡眠時間でトレーニングしたり。体のリズムが慣れるまでは少し苦しかったのと、寝起きすぐだと体がまだ起きていないので、重いものが持てなかったです。でも、トレーニングを始めて3か月くらいで、小さな変化ではあったんですが成長を実感してからは、自分の体がどんどん変わっていくことがモチベーションになって続けていけました」

そしていよいよコンテストの舞台へ。とはいえ、すぐに結果が出たわけではなく、それどころか減量などで、家族に心配をかけてしまうこともあった。

「コンテストに出始めた頃は、家族にとってはよくわからない世界であり、減量して頬がこけているのを見て心配されていた時期がありました。でもコンテストでグランプリをとったり、理解してもらえてからはすごく応援してくれるようになりました。両親も『健康に気をつかってちゃんとご飯食べなさいよ』と言っていたのが、『栄養バランスを考えてしっかり楽しんで』という感じに変わっていったのでうれしかったです」

その後は実績を積み重ね、昨年の「SBC FINAL」(日本大会)・TREND部門LGENDクラス(40歳以上)で優勝、9月の福岡大会ではTREND部門のChampion of the show(総合優勝)にも輝いた。12月の日本大会・TREND部門連覇、そして総合優勝を当然目標に掲げているが、目指しているのは勝利だけでなく、むしろこれこそが實松さんのトレーニングの原動力になっているものだ。

「8月の東京大会のKIDS部門に11歳の娘が出場させていただきました。フィットネスに興味があるみたいなので、18歳になって正式に大人の大会に出られるようになったら親子でステージ共演したいです。なので、少なくともあと7年はケガもせず続けていかないといけませんね」

大きな夢を語ってくれた實松さんは、いつか娘と一緒のステージに立つため、今日もトレーニングを続けていく。

取材・文/シュー・ハヤシ
写真/木村雄大