サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する連載。第19回は、プロテインを摂るタイミングについて。
※本記事は、2020年に公開した記事を再編集して紹介するものとなります。
■就寝前に飲むのは一長一短
プロテインを摂るタイミングとして、運動後はとても有名ですが、もちろんそれ以外に摂っても大丈夫です。運動後はゴールデンタイムということで、とくに摂取する価値が高いタイミングというだけの話です。
プロテインの摂取は特別な機能を求めるものではなく、タンパク質という栄養素を的確に摂取するのが目的ですから、タンパク質だけを自分の必要量、確実に取り入れた時に最大限の価値を発揮します。そのひとつが、ゴールデンタイムと呼ばれる運動直後というわけです。
じつは私が一番おすすめするタイミングは、朝食後なんです。
朝ごはんでのタンパク質の摂取量は、かなり気をつけておかないと十分な量に達しにくいのです。
たとえば、牛乳を飲んで卵と食べてもまだ必要量には達したと思えません。朝ごはんのタンパク質が足りないということは、お昼ごはんまでの間の血中アミノ酸濃度が十分でないことになりますので、筋肉にとっては分解が優位という残念な状況になりかねません。
ところがタンパク質は一般の食材としては、脂質がセットで入っていることと、腐ってしまうという特徴があります。腐らせないためにも、焼いたり煮たりという調理が必要なケースが多いのです。
しかし、朝の忙しくまた食欲も湧きにくい時間帯において、わざわざ調理をして食べるというのは意外にもハードルが高くなっていき、結果として食事としてのボリュームはある程度確保していても、タンパク質量が不足気味という状態が生まれやすいのです。ここにプロテインを追加してやると、一気に問題点が解消されるというわけです。
同様に、もし昼食や夕食でもタンパク質の摂取量が足りないと感じたら、プロテインを追加で飲むといいでしょう(夕飯のタンパク質が足りないケースはあまり見かけませんが)。
就寝前にという話もよく聞きますが、これは一長一短になります。就寝中の血中アミノ酸濃度を維持するという点においてはメリットとなりますが、寝ている時に唯一休ませることができる内臓を使うという点ではデメリットとなります。夕食後は賛成ですが、就寝直前は私個人は避けるようにしています。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。