ランニングやダッシュの際に不可欠な筋肉が、大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の総称であるハムストリングです。関節を二つ以上またぐ二関節筋に起こりやすいと言われる「肉離れ」が多く起こる筋肉としても有名です。程度にもよりますが、一般的には完治するまでに3~5週間かかると言われるだけに、筋肉のケアには十分注意したいところです。
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【内転筋群】
内ももにある恥骨筋、大内転筋、短内転筋、長内転筋、薄筋の総称です。名前の通り大内転筋が一番大きく、股関節の内転(足を閉じる動き)で力を発揮します。日常生活の中で使用頻度がそれほど高くないため、意識的に鍛える必要がある筋肉と言えるでしょう。
<内転筋群>
・ヒップアダクション
股関節の内転をイメージし、床側の足を垂直方向に持ち上げます。膝を伸ばしたまま、可能な限り股関節を閉じていきます。股関節の内転筋群(恥骨筋、大内転筋、短内転筋、長内転筋、薄筋、外閉鎖筋)の位置をしっかりと把握した状態で行なうようにしましょう。
<内転筋・大殿筋>
・ワイドスタンス・スクワット
スタンスは肩幅より三足分、広く取り、上体は固定し前傾させないように注意します。その状態から、お尻が後ろに出ないように意識しながら垂直方向にスクワット。膝を外側に向けることで内転筋群、大殿筋下部に、効率的に刺激が入ります。
【ハムストリング】
太ももの裏側にある大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の総称です。膝関節の屈曲に加え、股関節の伸展(足を後方に振る動き)もある二関節筋です。豚肉でハムをつくる際、もも肉をぶら下げるためにハムストリングの腱を使用したことからハムストリングと呼ばれています(Ham=豚のもも肉)。
<ハムストリング>
・チェアー・ヒップリフト
寝た状態でベンチなどに足を乗せます。やや膝を伸ばした状態で足を上げ、つま先は上に向けます。ハムストリングの内側にある半腱様筋と半膜様筋を意識しながら、股関節の伸展を行ないます。
<ハムストリング>
・スティッフレッグ・デッドリフト
通常のデッドリフトと違って、膝はあまり曲げずに背中を伸ばしたまま順手でバーベルを握ります。つま先と膝を外側に開くことで、大腿二頭筋に入る刺激を高めます。バーは体から離さず、垂直方向に持ちあげます。
<ハムストリング>
・レッグカール
足の指先を外側に開き、うつぶせでスタンバイ。つま先を外側に向けたまま、膝関節を屈曲していきます。下腿を外旋させた状態で行なうことで、大腿二頭筋に効果的に刺激を入れることができます。
監修:岡田隆(日本体育大学教授/博士)、八角卓克(株式会社LIFE BUILDINGフィットネス総合研究所上席研究員)
実技モデル:三嶋教夫、柿夏芽、水沢充裕
撮影協力:スタジオバズーカ