サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、プロテインの入門知識を解説していく企画。今回は、サプリメントでプロテインを摂取する理由について。
プロテインに代表される栄養補助食品はまさに「栄養」の補助という位置づけですので、例えば飲むだけで筋肉がつくとか、スタミナがアップするといったような「機能」は期待できません。
プロテインを飲めば筋肉が付くのではないの? と思う人も多いかと思いますが、あくまでも筋肉は筋トレなどによって速筋への刺激がないと、大きくなっていかないのです。その際には筋肉の材料となるタンパク質がより多く必要となり、そのタンパク質を「効率よく」「素早く」「確実に」摂取するためのものがプロテインという関係になります。
もちろんタンパク質は通常の食事において、肉、魚、豆類などから摂取していますが、それ以上のプラスαを摂るにおいてはプロテインの活用が効果的になるというわけです。
まず一般的に、タンパク質は肉にしても魚にしても脂質がセットになっているケースがほとんどです。タンパク質だけを摂ろうとすると、鶏のササミのようにかなり食材を選ぶ必要がでてきます。
また、腐りやすいというのもタンパク質のありがたくない特徴のため、通常は焼いたり煮たりと調理が必要になります。当然、そこには手間暇がかかってきます。さらには、摂取したタンパク質がどれくらいの時間でアミノ酸となって身体で活用されるのかという点も、通常の食事では数時間を要することになります。
眠気や食の細さで十分なタンパク質が摂りにくい朝食のシーンであるとか、すばやく吸収させたいトレーニング直後であるとか、摂取量を正確に把握したいといったような状況においては、プロテインの活用は非常に役立つのです。
また、少し上級者向けになりますが、血中のアミノ酸濃度を高く維持することは筋肥大に効果的です。その際には三度の食事における、食事からのタンパク質摂取に加えて、食間などでプロテインを利用することでより確実に実施できるようになります。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。