第2回ではプロテインにさまざまな種類があることを紹介し、第3回からは第2回で紹介した分類について、桑原さんに詳しく解説してもらいました。今回は日本製・外国製などの生産国の違いについて。
プロテインは生産国による差別化が難しいサプリメントの代表といえるかもしれません。
そもそもプロテイン自体は特別な機能をうたうサプリメントではなく、的確にタンパク質の摂取を目指すものだからです。
市販されている大概のプロテインは原料、純度、味、溶け具合、価格、別途配合した素材、といった要素の組み合わせで勝負しています。したがって、日本製と外国製も大きな差はないと考えていいでしょう。
イメージ的には、外国製のプロテインのほうがパッケージコピーやネーミングの影響もあってか、効果がありそうといった印象をもつかもしれませんが変わりありません。逆に私個人としては、もし「どこのプロテインをおすすめしますか」と、指導をしているアスリートにたずねられた場合は、とりあえず外国製を避けるようにと伝えています。これも外国製が即NGという意味では決してないのですが、どこのメーカーのどういった製品かがわかりにくいからという理由です。
また、時として問題になるのがコンタミ(コンタミネーション)です。意図して違法なものを配合するなどは言語道断ですが、意図してではなく結果として製品に想定外の原料が混入するという問題です。なんら問題のない原料であれば大騒ぎするほどではありませんが、医薬品などを製造しているラインなどではドーピングに抵触するケースもあるからです。日本のメーカーの場合は、そのあたりの意識レベルもある程度わかっていますので、最低限の安心感にはなります。
いずれにしても、プロテインとは何かという本質を理解したうえで、目先のキャッチコピーや価格だけで製品の良し悪しを判断しない事です。
余談になるかもしれませんが、ホエイプロテインの場合はその原料(乳清タンパク)はほぼ外国産のものと思って間違いありません。つまり原料レベルでは外国のものを輸入して、国内の工場で加工や包装をしています。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。