パッケージに記載されているCFMって何?【プロテイン入門⑦】




第2回ではプロテインにさまざまな種類があることを紹介し、第3回からは第2回で紹介した分類について、桑原さんに詳しく解説してもらいました。今回はプロテインの製法のひとつであるCFM製法について。

CFMは「クロスフローマイクロフィルトレーション」の略で、WPI(純度が90%前後のプロテイン)の一種といえます。

特殊な膜と技術を使用することで、膜処理でありながらも純度を90%前後まで高めていけるという点において画期的な製法といえます。細かい話になりますがCFMは商標登録がされているので、一般名称ではなく固有の企業のネーミングということになります。

市販されている多くのプロテインにもCFMというロゴが記載されていますが、それはまさにCFM製法で純度を高めていったWPIのプロテインという事を意味しています。CFM製法が登場するまでは、IE(イオンエクスチェンジ製法)によって純度を高めていましたから、ホエイプロテインの精製技術の進化のひとつでもあります。

ただし、CFM製法とIE製法のどちらが優れているかという点においては、なかなか甲乙つけがたい側面があります。

簡単に表現するならば、有益なものを残しながら完成度の高いプロテインを作るといった発想がCFM製法で、プロテイン(タンパク質)以外のすべてを除去したうえで、必要なもの(有益なもの)を後から加えて完璧なものを作るといった考え方がIE製法です。

確かにCFM製法のほうがGMP(グリコマクロペプチド)のような生理活性物質は多く含まれますし、カルシウムのようなミネラルも豊富です。しかし、例えば非タンパク態窒素といった筋肉の材料として使われにくいタンパク質はIE製法のほうが少なく、純粋に筋肉の材料として使われていきます。また、ヒートダメージのような熱変性が話題になることもありますが、乾燥工程においてはどちらも同じと考えていいので問題ありません。

どちらの製法が優れているかという比較ではなく、良質なWPIを作っている証であるというくらいの感覚でいいと思います。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。