プロテインは、製法や配合されているその他の成分によってタンパク質の含有量が変化します。加えて、タンパク質の中に含まれるアミノ酸の値もそれぞれ異なり、その含有量を示すアミノ酸スコアという指標が存在します。そこで第9回では、プロテイン摂取時に気にしなくてはならない、タンパク質の含有率とアミノ酸スコアについて、桑原さんに詳しく解説していただきました。
タンパク質の含有率は、その製品(プロテイン)に実際どれだけのタンパク質が含まれているかです。
プロテインはタンパク質の塊のようなものですが、かといって100%がタンパク質というわけではありません。WPIやWPCのように精製の方法によっても純度は変わりますし、他にビタミンやミネラルなどのように何かを配合すれば、製品としてのタンパク質の含有率は下がることになります。
プロテインを何g飲むのかではなく、タンパク質を何g摂取するのかを考えなくてはいけないのですから、自身が飲むプロテインのタンパク質の含有率は意識しておく必要があります。タンパク質を20g摂るにあたって、WPIであれば20g+αでいいのですが、WPCであれば30g近く飲まなくてはなりませんからね。
アミノ酸スコアとは、そのタンパク質の中に必須アミノ酸が必要量入っているかの指標で100が上限です。
必須アミノ酸は全部で9種類ありますが、それぞれに必要とされる比率があります。仮に、ある必須アミノ酸が必要量の2倍入っていたとしても、別の必須アミノ酸が必要量の半分しかなければアミノ酸スコアは50ということになります。つまり極端な話かもしれませんが、必須アミノ酸が8つしかなければアミノ酸スコアはゼロという事になります。
乳はアミノ酸スコア100なのでホエイもカゼインも100となりますが、以前は大豆のアミノ酸スコアが100ではなかったのです。今では評価方法が見直されて大豆も100となりましたので、市販されているプロテインは通常アミノ酸スコア100となり、当たり前がゆえにパッケージにはアミノ酸スコアの表記もほとんどされなくなってきました。
プロテイン以外の一般の食材においては、アミノ酸スコア的には100でないものがたくさんあります。例えば米にもタンパク質は含まれていますが、リジンなどの必須アミノ酸は足りていません。つまりアミノ酸スコア的には100ではないものの、表記的にはタンパク質として表記されることになります。表記されているタンパク質のグラム数と、きちんと体内で利用される効率は異なるという点は認識しておいたほうがいいでしょう。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。