20回にわたって桑原さんに聞いてきたプロテインの入門知識。今までプロテインを飲んだことがなかった方も、プロテインに関する知識が身についたのではないでしょうか。今回は、シェイカーによって効果や味が変わることはないのかについて、桑原さんに解説してもらいました。
シェイカーもずいぶんといろいろな種類のものが登場してきましたね。私がサプリメント事業を立ち上げた二十数年前には、まだ正式なシェイカーというよりは食材を保存するタッパーの延長線上のものを利用しているという感じでした。
半分笑い話ですが、当時はシェイクすると少しずつ漏れてしまい、ジムのロッカーを汚したり、なんていうこともよくありました。今ではノベルティのみならず、高額なシェイカーも販売されていたりして、すっかりトレーニングギアの一部というくらいの位置づけになってきた気がします。
さて本題ですが、さすがにシェイカーによってプロテインの栄養価が変わるということはありません。もしそんなシェイカーがあったら、まさに魔法瓶ならぬ魔法シェイカーの登場です。しかし、古代ローマでは貧血防止のためにワインに剣を浸して飲んだそうですし、準天然温泉はイオン化しやすい石を使って温泉にしたりしますから、もしかすると栄養価がアップするシェイカーなどもいつの日か登場するかもしれませんね。
その日はまだまだ先の話だとしても、よりプロテインをおいしく飲むという効果は今すぐに期待できます。
プロテインをおいしく飲むには、やはりミキサーなどで十分に撹拌させるということがポイントです。そして、水にせよ低脂肪乳にせよ、溶かすものの温度が冷たい状態であること。さらに、飲む容器が適度な冷たさで維持できていれば完璧です。プロテインバーを併設しているジムでは、こういったパターンでプロテインを作ってくれますからよりおいしく感じるのではないでしょうか。
以前、ステンレスの容器メーカーに、よりおいしく飲めるプロテインシェイカーの開発に関してアドバイスをしたことがありました。一般的にシェイカーはプラスチックのものが多いですが、ステンレス製のものを冷やして使うとそれだけでもおいしさが増します。栄養価がアップするという効果ではありませんが、おいしさも大きな価値ですから、そういった点ではシェイカーによって効果が変わると言えなくもないのかもしれません。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。