『25歳・プロレスラー×教師』が語る夢への道のり きっかけは“教育の一環”で出会ったプロレス




卒業式のシーズンだ。子どもたちや若者たちが春の訪れとともにそれぞれの夢に向かって新たなステップに進んでいく区切りの『卒業』は、多くの大人たちもくぐり抜けてきた通過儀礼でもある。大人たちは、卒業式の場で夢を追っていこうとする若者にエールを送るとともに、やがてその夢は夢のまま、夢を現実の『目標』に変えていく過程こそが『大人になる』ということも知っている。実際、多くの人にとって、卒業式を重ねるごとに、幼き頃の壮大な夢は、手の届く現実的な目標に変わっていったことだろう。

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そんな卒業式シーズンを前に、小学校時代に抱いた夢を抱き続け叶えた若者に出会った。道頓堀プロレス所属のレスラー、晴斗希(はるとき)25歳である。デビュー5年目を迎えた彼は今、『先生』とプロレスラーの二刀流に挑戦している。

きっかけは教育熱心な親

どちらかというと大人しい子どもだったという晴斗希少年が、プロレスと出会ったのは小学校3年生のときだったという。父親に連れられてメジャー団体であるプロレスリング・ノアを観に行ったときのことだった。父親はとりたててプロレスファンというわけではなかったが、子どもにいろいろなことを経験させようという教育方針の一環だった。

「家ではいろんなことをさせてもらいました。テニスとか、ピアノも(笑)。今はもう弾けませんけど。でも、なかなか自分の中でヒットせず、たまたま連れて行ってもらったプロレスにハマったんです」

目の前で大の大人が真剣に戦う様に晴斗希少年は衝撃を受けた。席は大会場の後ろのほうだったが、スター選手の三沢光晴の体の大きさはそこからでも十分に感じ取れた。

そこから晴斗希少年のプロレス通いが始まったが、少ない小遣いの小学生には、メジャー団体は敷居が高かった。晴斗希少年の足の向く先は、地元団体の大阪プロレスとなった。小さな箱で行なわれるローカル団体のリングは、より近くなった。少年のヒーローは、三沢光晴からすぐ目の前の看板レスラー・ツバサに変わっていた。

 ◆夢を夢で終わらせないために