『将来の夢=プロレスラー』に大人は反対 プロレス青年が抱いたもうひとつの目標「子どもの夢を応援する先生になりたい」




パンデミックが産んだプロレスラーと先生の『二刀流』

大学卒業後、プロレスラー活動を本格化した晴斗希。まさにこれから、夢だった海外進出を――。と思っていた矢先にコロナ禍で渡航制限がかかった。おまけに身体接触型スポーツのプロレスは休止という状況。そこで、頭に浮かんだのが、もう一つの夢だった『先生』だった。

「子どもの頃、プロレスラーになる夢を持っていたんですが、あんまり先生方が応援してくれなかったんですよ。だから子どもの夢を応援する先生になりたいなって思って、教員免許も取ったんです」

大学時代、塾講師のアルバイトをしていたこともあり多少の自身はあったが、プロレスラーと教師の二足のわらじを認める学校などそうそうない。面接に次々と落ちる晴斗希に手を差し伸べたのは、多様性を是とするインターナショナルスクールだった。授業は当然のごとく英語。学業にもしっかり取り組んできた経験がここで活きた。

というわけで、現在は兼業レスラーとして活動している晴斗希だが、地方団体ではこういう選手は少なくない。彼が心の師と仰ぐツバサも理学療法士として活動している。ただ兼業していると、怖いのがケガ。それに練習時間の確保も課題となってくる。晴斗希もその点は工夫している。

「週に何回か、他のレスラーさんと道場で練習はするんですが、自分で練習時間を1日に1時間は確保するようにしています。今の職場の近所のジムに昼休みに行っています(笑)。ヒザが悪いので、ランよりはバービージャンプとかサイクリングをやってますね。ケガ防止のためにストレッチは入念にしています」

2月25日には道頓堀プロレスデビュー5周年の記念大会が行われる。メインはもちろん晴斗希。対戦相手はあこがれのツバサだ。教え子たちも見に来るというこの試合が盛り上がることは間違いない。

取材・文・写真/阿佐智