パワーリフティングとボディビルの二刀流で闘う筋肉界のチャレンジャー【牛山恭太/ウッシー】#1




パワーリフターとして世界大会に出場するほどの実力を持ちながら、ボディビルダーとしても大会に出場するウッシーこと牛山恭太さん。二刀流を極めながら、YouTubeでは「パワーチューブ」というチャンネルでパワーリフティングをさらに普及させるための活動も行なうなど、いま筋肉界で大注目の存在です。今回はそんなウッシーさんに、パワーリフティングを始めたきっかけやその魅力などについて語ってもらいました。

挑戦は人生のテーマ

――パワーリフティングを始めたきっかけは?

今も一緒にYouTubeで活動しているウッディ上田から誘われたのがきっかけです。僕は野球や体操、スピードスケートなど、小さい頃からさまざまなスポーツに打ち込んできました。ただ、本気でスポーツに没頭してきたので、高校の部活動を引退した途端にすごい喪失感にかられたのです。そこで「充実した毎日を得るには挑戦が必要なんだな」と思ったこともあって、高校を卒業して専門学校に入学した後の2017年の6月頃にウッディ上田に誘われたタイミングでトレーニングを始めました。「挑戦」というのは僕の人生の中でとても大切なテーマになっています。

――現在はボディコンテストにも出場していますが、それも挑戦のためですか。

それもありますが、一番はパワーリフティングをもっとみんなに知ってほしいからです。じつは、僕が最初に「出たい」と思ったのはボディコンテストのほうでした。トレーニングを始めた年にベストボディジャパンに出場していて、パワーリフティングの大会に出場したのはその少し後です。

――パワーリフティングにより重きを置くようになったのはなぜですか。

ボディメイクとパワーリフティング、どちらの大会ももちろん楽しかったのですが、パワーリフティングの大会の中でつねに自分の限界に挑戦するという競技性に惹かれました。これは自分の中でもとくに大きなポイントです。パワーリフティングでは一人ひとりにBIG3各3回、計9回の試技が必ず与えられます。そこで、それまでの自分のすべてを出して限界に挑戦するチャンスが与えられるのです。たった9回と思う方もいるかもしれませんが、とても集中して力を出す瞬間なのでとても疲れます。だからこそ、試合が終わった後の達成感や満足感が強く、大会が終わった後に「楽しくなかった」と言っている人は見たことがないくらいです。僕もそういった感覚を味わって「この競技でトップになりたい。BIG3をもっと強くしたい」という気持ちがわいてきて、パワーリフティングにハマっていきました。

――自分の限界に挑戦するからこそ、順位とは別の達成感があるのですね。

そうです。しかも、自分の限界に挑戦するという行為に年齢は関係ありません。パワーリフティングの動作自体は単純な動きです。また、マスターズ等の年齢に合わせた出場カテゴリーも設けられているので、運動未経験の方や年配の方でもこの競技を始めるハードルは低いと思います。こういった魅力にあふれた競技を伝えるため、現在はさまざまな活動を行なっています。

――YouTubeの「パワーチューブ」などですね。

はい。僕とウッディ上田、NAOTOの3人でチャンネルを運営しているのですが、正直なところ、パワーリフティングはまだまだマイナー競技だと思います。でも、とても楽しくて、魅力的で、自分の人生を充実させてくれた競技がマイナーなのは悔しいという気持ちがありました。それならば、悔しんでいるだけでなく「少しでも多くの人に魅力を知ってもらえるように自分で行動しよう」と思い、2020年にチャンネルを開設しました。1人では続かなかったかもしれませんが、2人の仲間に恵まれたので、今まで続けられていると思います。

――「パワーチューブ」で初心者向けの情報などを発信しているのも、より多くの人に魅力を伝えるためなのですね。

その通りです。僕自身の経験を基にしたケガ予防のための方法なども発信していますし、パワーリフティングの大会も開催しています。大会に参加してくださる選手や見に来てくださる観客の方から「パワーチューブを見てパワーリフティングを知って競技を始めました」などの言葉をたくさんいただける瞬間は、競技を続けるモチベーションでもありますし、YouTubeなどで発信を続けるモチベーションでもあります。今後も発信や大会を通して、パワーリフティングの魅力をさらに普及していきたいです。

取材・文/シュー・ハヤシ
写真提供/牛山恭太