ステージに立つ理由はさまざま。職業自体が体づくりに携わるトレーナーの選手もいれば、普通の企業に勤めながらトレーニングに励み、その成果を試す場とする選手もいる。純粋にステージに立つことが楽しいから出続ける選手もいれば、とにかく頂点を求めてストイックに己を磨き続ける選手もいる――。
4/29(土)に埼玉会館 大ホールで行われたSuper Body Contest SAITAMA 02(埼玉大会)のDENIM部門でChampion of the showに輝いた渡辺エイジも、並々ならぬ思いでこの日のステージに照準を合わせてきた一人だ。
不安の日々から復活
「ここまで来るのにいろいろな思いがあって、2年間積み上げてきたものの成果が出せて良かったです」と話す渡辺。彼がトレーニングをはじめたのは、約2年前、椎間板ヘルニアを患い、そのまま車椅子生活になるのでは……という不安の日々からスタートした。
「そのような状況から体のことを勉強して、自重トレーニングから少しずつ積み上げてきて、今の自分があります。そうした中で、いつか舞台に立ってみたいと思っていたときに出会ったのがこのSBCでした。ディレクター兼ヘッドコーチの木下智愛先生をはじめとした運営の方々、そして周りの選手たちも含め、みんなで良い大会をつくっていこうとレッスンから指導いただきました。本当に初心者の私も温かく受け入れてくださり、感謝しています。本当に出場しやすい大会だなと思います」
渡辺が出場したのは、昨年からスタートした、デニムを着用してステージに立つDENIM部門。SBCの中でもファッション性の高いカテゴリーであり、そのコンセプトは「男子のさらなるカッコイイを求めて…クールにカッコよく、そしてナルシストに」。独自に制作されたダンストランス調のBGMの上で、クールかつスタイリッシュなポージングに加え、ポケットさばき、手さばき、脚さばきなどによる振付で、男子の魅力と迫力を魅せる競技だ。
「DENIM部門を選んだのは、やはりスタイリッシュでカッコいいなと思ったからです。このカテゴリーに合わせた体をつくるというよりは、さまざまな大会やカテゴリーがある中で、自分の体形にはデニムが合っていると思いました。予選のフリーポーズではちょっとパニクってしまって失敗してしまったのですが、決勝でうまくカバーできたのかなと。それも含めて、楽しい良い経験ができた1日となりました」
自身のSNSでは、同年代で同じように一般的な仕事をしながらDENIM部門で頂点に立った経験を持つ西澤浩一郎へのリスペクトのコメントを残してはいるが、人生のピンチから見事な復活をはたし、執念を持った積み上げの成果として輝かしい姿を見せた渡辺の姿もまた、今後多くの人の道しるべとなるはずだ。
「今年で50歳になりますが、この年でもここまでできるのだと、同世代の方にもコンテストのステージ立つことで伝えていきたいなと思います」
取材・文・写真/木村雄大
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