高校時代からベンチプレス100㎏「バスケとトレーニングは誰にも負けたくない」【岡本飛竜(後編)】




バスケットボールにおける、各選手に必要になるフィジカルを探る本企画。今回はBリーグの強豪・アルバルク東京でポイントガード(PG)を務める#3岡本飛竜選手に注目する。

ちなみにPGとは、漫画・SLAM DUNKでは宮城リョータが務めるポジション。ボール運びやパスの配給、ゲームメイクを担う「コート上の監督」とも言える役割だ。ディフェンスとコンタクトする時間が非常に長いだけに、「フィジカルの優位性が精神的余裕にもつながる」と岡本選手。ここでは筋肉隆々な肉体をつくりあげた彼の思いと、具体的なトレーニングについて聞いた。

©️ALVARK TOKYO

信じ続けたフィジカルの重要性

抜群のスピードにタフなディフェンス。闘志全開でチームを鼓舞する岡本選手は、アルバルク東京にとって必要不可欠な存在だ。今ではプロの世界で活躍する彼だが、ここに至るまでは悔しい思いを重ねてきた。

「高校、大学、プロになっても試合に出られない時間は多かったです。その悔しさを筋トレにぶつけて、少しでも前に進もうと鍛えてきました。メンタル的にも、ウエイトトレーニングが支えてくれた部分は大きかったですね」

延岡学園高校では、3年時にインターハイ・国体・ウィンターカップの3冠を達成。拓殖大学ではキャプテンを務めるなどトップ街道を歩んできた。しかし、チームにスター選手が揃っていたこともあり、プレータイムは決して長くなかったのだ。プロ入り後も苦戦を強いられる中、彼はフィジカル強化の重要性を信じ続けた。

「ウエイトトレーニングは高校から始めて、プロに入ってからはアメリカのトレーナーに教わることもありました。NBAでは週6回くらいトレーニングしている選手がいると聞いて衝撃を受けましたね。トップ選手もそのくらいフィジカル強化に力を入れているのだなと。それが今でも刺激になっています」

©️ALVARK TOKYO

シーズン中は調整するものの、オフシーズンのトレーニング頻度は週4回以上。スクワットやデッドリフト、ベンチプレスといったBIG3はもちろん、基本的なウエイトトレーニングは一通り行なっている。高校時代からベンチプレス100㎏に挑んでいたという岡本選手のモットーは、扱える重量をどんどん伸ばすことだ。

「『体が大きくなりすぎるとスピードが落ちる』という声もありますが、自分はむしろ逆だと思っています。上半身を鍛えると腕を振るスピードも上がり、一瞬の速さにつながります。また、体が強いとディフェンスの圧力を跳ね返せるので、余裕ができてシュートの精度も高まると感じます」

俊敏性はバスケットの練習で培えるため、練習以外の時間はフィジカル強化に重点を置く。それに加えて行なっているのが、正確な判断力を磨くトレーニングシューティングだ。トレーナーにドリブルワークなどの指示を口頭で細かく出してもらい、それらを素早く・正確にこなしてシュート。このように実戦に活きるワークアウトで己を研ぎ澄ませている。

「ハードな練習をこなした後、判断力強化のメニューを行なうようにしています。とくに体力的に過酷な夏に多く実施することで、極限状態での判断力を磨いています」

基礎的な筋トレや練習など、一歩ずつ積み上げてきた鍛錬。“筋肉は嘘をつかない”ということかだろうか「あと一歩が試合中に出た時、トレーニングの効果を実感します。積み重ねが自分の強みになっていると感じます」と岡本選手は語る。それほどに努力を惜しまない選手だからこそ、チームに与える好影響も大きい。

©️ALVARK TOKYO

「エネルギーをもってコートに入り、チームに勢いをつけるプレーをしたいです。ディフェンスは前からゴリゴリあたって、オフェンスではしっかりコントロールしつつ、決めるところは決めてチームに貢献していきたいと思います」

屈強な大男がひしめく戦場で、岡本選手は今日も闘い続けている。あらためてバスケにおけるフィジカルへの思いを問うと、答える言葉に熱がこもる。

「これからBリーグも外国籍のPGが増えてくると思うので、マッチアップできるのが楽しみですし、フィジカル面でも勝っていきたいです。バスケとトレーニングに関しては誰にも負けたくないですし、そこだけは譲れないですね」

強靭な肉体の源は負けん気。Bリーグチャンピオンを目標に、岡本選手はこれからもチームを鼓舞していく。

◆岡本選手が所属する、アルバルク東京のHPはこちら


岡本飛竜(おかもと・ひりゅう)
1993年4月20日生まれ、鳥取県出身。延岡学園高校3年時にインターハイ・国体・ウィンターカップの3冠を達成し、拓殖大学では4年時にキャプテンを務める。大学卒業後は島根スサノオマジック、広島ドラゴンフライズ、新潟アルビレックスBBでプレー。2022年からはアルバルク東京で活躍を見せている。ポジションはPG。

取材・文/森本雄大
写真提供/アルバルク東京