お尻は狙った部分をピンポイントで鍛える時代【岡部友の尻トレ最先端#3】




“美尻のカリスマ”岡部友さんのインタビュー企画。専用マシンが普及するなど人気が高まっているお尻のトレーニングですが、以前と今とでは考え方やメニューに変化はあるのでしょうか。そこで今回は、最新の尻トレトレンドについてお話を伺いました。

尻トレの認知度は確実に上がっている

――以前からお尻のトレーニングには高い感心が集まっていると思います。

「たしかに、お尻を鍛えることは女性を中心に関心を集めてきました。ここ最近は尻トレへの認知度がさらに高まってきていると思います。ヒップスラストやアブダクションなどの種目も、明確に『お尻のトレーニングだ』と認識されるようになりました。前までは『なんとなく下半身が疲れた。お尻に効いているらしい』くらいの理解度だったものが、今はお尻を鍛えているのは当たり前。お尻の中でも上部・中部・下部など、ピンポイントで鍛える意識を持つところまで発展してきています」

――人々のトレーニングへの理解度が上がったことで、トレーナーの指導も変化していますか。

「トレーナー界全体ではまだかもしれませんが、SPICE UP FITNESSでは指導を変えるようにしています。一口にお尻といっても、骨格も脂肪のつき方もお客様によって違います。どこに筋肉をつけたら効率よく形がきれいに見えるかを見極めて、それをもとにエクササイズを選ぶようにしています。私はそのくらい詳細な指導が求められていると感じます」

――漠然と鍛えるのではなく、ピンポイントで効かせることに重点を置いているのですね。

「はい。『お尻のトレーニングと言えば、とりあえずブルガリアンスクワットとヒップスラスト』という感覚では甘すぎると考えています。お尻は十人十色なので、やったほうがいいエクササイズもあれば、やらないほうがいいエクササイズもあるからです」

※こちらの写真は2018年に撮影したものです

――エクサイズを選ぶ基準のようなものはありますか。

「まずは筋肉のバランスですね。たとえば、大殿筋に対して中殿筋が大きすぎる人は、中殿筋のメニューはカットです。あとは骨格ですね。アジア人は、骨盤で一番出っ張った骨である上前腸骨棘(ASIS)と股関節の横あたりにある大転子という骨が同じくらい出っ張って、直線のラインを形成している人が多いです。こういう骨格の方は、まんべんなくお尻に筋肉がついてもあまり丸くなりません」

――骨格のラインが直線的なので、意識して筋肉のボリュームを調整する必要があると。

「その通りです。骨格のラインが直線的だと、よりお尻の下部を鍛えてあげないと魅力的なお尻に見えません。お伝えした骨格のラインが台形型になっていたほうが、鍛えた時にお尻がきれいに見えやすいですね。“砂時計ボディライン”と言いますが、ウエストはキュッとしまって、お尻にボリュームがある状態が理想だからです。一例ですが、こうした要素をもとに判断しています」

――トレーニング種目の選定の他に、大切なポイントはありますか。

「いかに狙った筋肉に効かせるかが重要です。たとえばスクワットはお尻だけではなく、前ももにも効くトレーニングですので、しっかりとお尻に効かせるためには工夫が必要です。ただメニューをこなすのではなく、どのように取り組んだか。難しく聞こえますが、要領を掴めれば必ず筋肉はつけたいところにつきます。トレーニングの際にそこまでこだわるのが、尻トレ界の“今”だと思います」

――女性専用ジム、コンビニ感覚で通うことができるジムの普及など、トレーニングはかなり身近な存在になってきました。とはいえ自己流で筋トレをするには、正しい知識が必要不可欠ですよね。

「はい。筋トレへの興味から実行しやすくなった環境はいいことだと思います。ただ、そこで行なえるのはあくまで自己流のトレーニングです。筋トレで効果を発揮するには、溢れる情報を取捨選択し、正しく取り入れる力が必要になってきます。トレーニングへの間口が広がったことによって、じつは弊害もあるのです」

――情報過多になる危険性もはらんでいますね。

「そうなんです。SPICE UP FITNESSにも、自己流で鍛えていて物足りなくなった方から、間違ったトレーニングでケガをしてSPICE UP FITNESSにたどり着いた方もいます。ケガをしては本末転倒なので、自分で情報を精査できる力が問われていると思います。流行っているから、体によさそうだからという理由で鍛えるところから、一歩先に進んで判断する力が必要になってきています」

取材・文/森本雄大
写真/保高幸子
写真提供/SPICE UP FITNESS


岡部友(おかべ・とも)
1985年12月6日、横浜市生まれ。株式会社ヴィーナスジャパン代表取締役。高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中に、プロアスリートに指導できるスポーツトレーナーが保持するNSCA-CSCSの資格を取得。帰国後、女性専門パーソナルトレーナーを経て、2016年3月に女性専用のフリーウエイトジム「SPICE UP FITNESS」を東京・南青山にオープン。2023年現在は5店舗を構えている。“美尻のカリスマ”として女性を中心に絶大な支持を集める。