美尻づくりに最適な「負荷」や「セット数」は?【岡部友の尻トレQ&A】




女性のメリハリボディに欠かせない上向きで丸いヒップ。ここではそんなお尻のトレーニングの疑問について、“美尻のカリスマ”こと岡部友さんに伺っていきます。今回は、尻トレにおける最適な負荷やセット数の設定について。

まずは部位選定と効かせる力をつけることが重要

負荷やトレーニングのペースよりも先に、「鍛えるべき部位の選定」と「ピンポイントで効かせる力」をつけることが必要です。これらができてはじめて、何kg何回×何セットという段階に入ることができます。回数とセット数を決めるのは、むしろ最後でいいと思います。

理由としては、狙う部位によって行なうべきアプローチが変わるからです。たとえば、大殿筋というのは速筋と遅筋がだいたい半々のバランスで混在しています。そうすると速筋向けのトレーニングも必要になりますし、遅筋を刺激するメニューも必要になってくるわけです。ちなみに速筋・遅筋のバランスは、各筋肉の部位によって異なります。

瞬発力のある速筋は8~9回が限界の負荷設定をするべきですし、持久力に長ける遅筋なら同じエクササイズでも13回~15回がMaxになるような重さに設定するべきです。そして大殿筋の中でも速筋が多い部位と遅筋が多い部分が存在するので、大殿筋の上部・中部・下部のどこを狙うかによって必要な負荷もエクササイズの種類も変わってきます。

エクササイズの種類が明確になったらようやく負荷や回数の設定ができます。一般的なトレーニング理論としては、人が挙げられるMaxの重量を1RMとし、70~85%1RMの負荷で8~12回×3セット、それで週2~3回鍛えると筋肥大が起こると言われていると思います。

※こちらの写真は2018年に撮影したものです

ただ私は、一般的なRMの指標は、お尻など部分的な筋肥大を狙う場合、あまり当てはまらないと考えます。たとえ80%1RMの重量設定をしても、効かせたい部位に効いていなければ意味がないからです。

スクワットの1RMが100kgとして、80%1RMである80kgをメインセットの負荷に設定したとしましょう。この場合は大殿筋・大腿四頭筋・ハムストリングスなど複数の筋肉を使って1RMの80%分のパフォーマンスをしたということだと思います。もちろん「大殿筋にピンポイントで効かせる1RMは80kgだ」というのがわかれば問題ありませんが、各筋肉が受け持つ割合を正確に見極めるのは非常に難しいと思います。

RMの指標を用いたトレーニングは、どちらかと言うと扱う重量を伸ばしたり、使える筋肉をつけたりと、パフォーマンスアップのためのトレーニングに適していると思います。一方、私たちは、あくまでもターゲットの部位に的確に効かせる重量とセット数の設定を重視しています。その重量設定は、先述した通り、鍛えたい部位やその他の変数によって変動するのです。

次にセット数ですが、私は4セットをおすすめしています。これは「お尻の筋肉を目覚めさせる1セット」と「効かせる3セット」ということです。1セット目はだいたい筋肉が起きていないので、何となく10回こなしているうちに終わってしまうことがよくあります。ウォーミングアップの1セットは別枠で考えないと、決めたセットをこなして満足してしまい、じつは効いていないということが起こり得るので注意しましょう。3セットや2セットでも、もし最初から100%で効かせられるのであれば、効果的なトレーニングは可能だと思います。

ひとりでここまで追い込むのは難しいものです。自身で行なうトレーニングも効果がないわけではありませんが、100%の成果がほしい方は、トレーナーからの指導を受けることも視野に入れるといいと思います。

取材・文/森本雄大
写真/保高幸子
写真提供/SPICE UP FITNESS


岡部友(おかべ・とも)
1985年12月6日、横浜市生まれ。株式会社ヴィーナスジャパン代表取締役。高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中に、プロアスリートに指導できるスポーツトレーナーが保持するNSCA-CSCSの資格を取得。帰国後、女性専門パーソナルトレーナーを経て、2016年3月に女性専用のフリーウエイトジム「SPICE UP FITNESS」を東京・南青山にオープン。2023年現在は5店舗を構えている。“美尻のカリスマ”として女性を中心に絶大な支持を集める。