170㎝、53kgの痩せ型です。健康的に太るには?【ガリガリ男子の食事を管理栄養士が分析①】




VITUP! 編集部員の食生活を改善すべく、管理栄養士の大野尚子さんにアドバイスをいただく本企画。前回まではアラサー男子の森本がご指導をいただきました。

その様子をうらやましそうに見ていたのが、“ガリガリ編集部員”こと170㎝、53㎏のシュー・ハヤシ。まだ初々しい21歳です。「健康的に太りたい!」と思い立ってから約半年が経つものの、体重は微増にとどまるばかりで悩んでいたのです……。そこで大野先生に相談すると、ハヤシの食事も指導していただけることになりました。

ハヤシの目標は、2023年中に体重60㎏まで増量すること。本人曰く高エネルギー量の食事と週1回のジム通いを続けており、ここ数か月で2㎏ほど増量できているとのことですが、今のペースで目標達成できるかは微妙なところ。増量のために気をつけるべきことはいったい何なのか? ここではハヤシの日常を覗きつつ、大野さんに改善のアドバイスをいただきました。

栄養面からアスリートのサポートや、生活困窮世帯への支援などを行なっている大野さん

朝と夜の栄養不足を昼で補う生活

読者のみなさま、こんにちは。
ガリガリ編集部員ことシュー・ハヤシです。

今回から私の食生活をお届けするのですが、どうかお手柔らかにお願いします……(笑)。

会社はフレックス制で、私はだいたい10時に出勤します。この日は寝坊寸前だったこともあり、朝食は会社で食べました。子どもの頃から朝はパン派。甘いものが好きなので、この日はイチゴジャムのコッペパンを選びました。高カロリーなので、これで増量は間違いないでしょう。

朝食をパンひとつで済ませた分、お昼はしっかり食べます。この日は14時に行きつけの定食屋へ行き、サーモンハラス干し定食(ご飯大盛)をいただきました。

そして夕食ですが、なかなか仕事を終えられなかったため、帰宅前に社内で食べることに。とはいえ家にいる時も夜はコンビニで買ったものを食べているので、変わるのは食べる場所くらいです。買ってきたのは、セブンイレブンで販売しているメンチカツバーガーとチーズ味のから揚げ、飲み物はお気に入りのレモネードです。ここでも一応増量を意識して、カロリーの高そうなものをチョイス。1日の締めにコンビニ飯とはなんとも健康に悪そうですが、「食べないよりはマシだろう」と心の中で言い訳をしつつ、いただきます。

いつも朝はパンひとつ、夜はコンビニ飯という生活なので、その分を昼食で補う努力をしているつもりです。以前は昼を欠食したり、食べてもカロリーメイト1袋(1箱の半分)ということもしばしば。ラーメン一杯を完食できないくらい小食だった過去と比べれば、個人的にはかなりがんばっているのですが……。大野さん、やはりまだまだ食べるべきでしょうか。

圧倒的エネルギー不足が判明

食生活記録・改善アプリ「あすけん」にて栄養価を算出

「もちろん食べる量を増やせるなら増やすべきでしょう。ハヤシさんの性別・年齢・活動量から求めた1日のエネルギー必要量(推定)が2650kcalなのに対して、この日の食事は1855kcalです。全然足りていませんよね。加えて、朝と夜の食事は脂質が高すぎます。痩せている人に多いのですが、脂質でエネルギーを補っているという特徴にピッタリ当てはまりますね。この食生活を続けると体を壊してしまいますよ」

エネルギー不足は少し意外でしたが、脂質が多すぎるという指摘には納得です。たしかに今まではエネルギー増を求めるあまり、他の栄養素などはそれほど確認せず食べていました。

「エネルギー量を気にするのもいいですが、栄養バランスも大事です。脂質を適正範囲に抑えるためにも、夜のから揚げはサラダに変えたほうがいいでしょう。また、1食20gはタンパク質を摂ってほしいので、そこも意識できるといいですね。タンパク質が多く含まれているサンドイッチなどであれば、それだけで万事解決です。あとは食事をしないと当然体重は増えていかないので、欠食をしないことも重要ですよ。まずは今より体重を落とさないように、食事を抜かないことを固く心に誓ってください。ちなみに、目標の2650kcalを摂取するためにいきなり900kcalも増やすのは大変なので、まずはプラス500kcalくらいを意識していくといいです」

これからは欠食をしないことを肝に命じつつ、1日のエネルギー量と栄養バランスを意識して食事を考えていこうと思います。大野さん、ありがとうございました。(2日目に続く――)

大野尚子(おおの・しょうこ)
食生活の相談室 食STEP代表、管理栄養士。短大卒業後、栄養士として給食会社・食品会社勤務を経て管理栄養士の免許を取得。(独)国立健康・栄養研究所にて、国民健康・栄養調査業務に携わり、全国各地での研究における食事調査を担当する。その後、特定保健指導、国立スポーツ科学センターでのトップアスリートの栄養サポートを担当。独立後はジュニアアスリートを中心としたスポーツ栄養相談・個別サポートNPO法人における生活困窮世帯に対する食育事業、高齢者介護予防事業、コラム執筆、講演活動などに注力している。